薪づくり、最大の悩み!A/Z 並に救われない、この結末

薪づくりの最大の悩みは、やはりいかに乾燥させるか、ということだと思います。

薪を乾燥させるには、普通に自然乾燥させるととにかく時間がかかります。
針葉樹の例ですが、乾燥について調査した資料があります。

針葉樹薪の乾燥過程を調べました
(岐阜県森林研究所) 古川邦明 氏
http://www.forest.rd.pref.gifu.lg.jp/rd/kankyou/mori131201.html

上記資料は、ウエットベース(WB)で含水率について書かれています。含水率については、拙ブログに過去まとめたので、なにそれ、という人は一度、目を通していただければと思います。

mori13120102

上図は当該資料 からの引用ですが、以下のことが見て取れます。

まず、かなり明確に差が出るのは、割ると乾燥が早い、ということです。
当たり前のことではありますが、割らないものに対して四割では、20% の含水率に到達するまでの時間が、杉で約半分ヒノキでも、2/3 程度に短縮されていることがわかります。

次に、露天と軒下での乾燥速度の差ですが、露天なら太陽光に暴露されるので乾燥が促進するものと思いましたが、全くと言っていいほどその影響が見て取れないこと、すべてのケースにおいて軒下が良い結果を出していることは意外でした。
そして、露天と軒下の差ですが、含水率が 20% を下回ると、露天の薪のバラつき大きくなる、ということです。
これは雨に濡れることの影響だと思います。

最後は、乾燥の速度変化です。含水率が 20% 程度までは急速に乾燥し、それ以降は鈍化、10% 程度になるとそこから先は殆ど乾燥しない、ということです。割る割らないでいえば、どのような状態であれ、10% 程度に乾燥させるのなら、かかる時間には大差がない、ということです。

まとめると、身も蓋もない結論になりました。

    

  • 割ろうと、割るまいと、10% まで乾燥させるのなら、かかる時間には変化がない。
  • 含水率が 20% を切るまではどこで乾かしても大差はない。乾燥の要件として、日当たりの良さは大きな影響はない。
  • 含水率が 20% を切るまでは、割ったほうが乾燥が促進され、その差は大きい。
  • 含水率が 20% を切った後は、軒下に保管しないと含水率のバラつきが大きくなる。

自家用で作るのなら、20% ではシューシューいう可能性のあるレベルなので、安心して使えるレベルに乾燥させるのなら、同じ時間がかかるのだから、自然乾燥ならば何をして無駄、時間をかけろ、20% を切ったら雨よけをかけろ、それだけの事のようです。
全くもって救われない結末になりました。

ただまあ、これは含水率、という側面だけを見たものであって、かつ、針葉樹のスギ・ヒノキの場合です。
広葉樹の場合がどうであるのかは不明ですので、調査を続けたいと思います。

実際の作業的には、11 月頃に切採、葉枯らし後 2〜3 月頃に山から出して薪に加工するわけですが、6 月から梅雨に入るので、この梅雨の時点までに含水率を 20% 程度にまで落とし、雨対策をする必要がある、ということもわかりました。
そうしないと、気温も高くなり、カビや虫の影響が懸念されるからです。
梅雨までに加工できないのならば逆に無理をしなくても、10% になるまでの時間は変わらないことも明らかなので、原木の保管状態に気をつければよい、ということもわかりました。

あくまでも個人的な考えですが、上記の事実に即して考えるのなら、薪屋として 2 年乾燥物を売るというモデルには大きな欠点があることがわかります。
つまり、2 年掛けるのなら、いかに工夫しようとも自然乾燥ならば、2 年掛けたという事実しか明らかになっておらず、生産環境によっては、含水率にばらつきが多いため、ユーザから見れば、ただ単に経年劣化しただけのものが来るということもあるわけです。
だとすると寧ろ、薪としての加工直後、含水率が 20% を切った時点で出荷するほうがはるかに効率的で、実利的です。
ユーザ宅に、ストックスペースがあれば、という前提ですが、2 年分のスペースがあれば、割ったばかりのものを、1 年分あれば 20% を切った時点でのものを購入するのがもっとリーズナブルです。
ただし、割ったばかりのものは水を運んでいるようなものなので、ごく近距離でないとロスが多くなると思いますが。

ビジネスとして考える場合、1 年以上の乾燥期間をかけることは、資金の問題、保管スペースの問題が発生するので絶対避けなければなりません。
人工乾燥を含めて、更に掘り下げていきたいと思います。

原木ラック

さっき書いたエントリーは、薪ラック、今度のは原木ラックです。

少し前にさらりと書きましたが、Balfor の SC700 を買ったわけで、こいつでガンガン玉切りをしよう!と目論んでいるわけですが、生粋の無精几帳面なものですから、原木をラックに整然とセットし、連続供給しよう、などと目論んでいるわけであります。
もう、立ったり座ったりが大変、皇潤だのグルコサミンだのコンドロイチンだのの CM が気になるお年ごろですから、体に負担をかけてはいけません!
決して、働きたくないわけではなくて、体を労ってのことです、多分。

てなわけで、原木ラックが欲しい!

ピンきりではあるんですが、まともなものを買うと、100 万近くしたりするものですから、冗談はよしこさんであります。

この動画は、SS700 (SC ではなくて SS)のものですが、手前に材料の原木をセットしてあるのが原木ラックで、これで 100 万くらいしちゃうわけで。

ラックにグラップルやフォークリフトで原木を供給するわけですね。手で持ち上げたりというようなことは、セレブなのでいたしません。なお、セレブが薪割りをするのかという部分に対してのツッコミは厳禁と致します。

で、SS700 はインフィードローラーがたくさんついているんですが、SC700 はそうじゃないので、このインフィードローラー部分を自作しないといけないのです。

backlash_y-4580109125805結構ガタンガタンやる部分だし、安くて、簡単に位置とか調整できて、壊れたら交換できて、などと考えていたんですが、ピカピカと閃きました!

キールローラ使えばいいんでね?

汎用品だし、安くはないけど、高くもない。
U 字ボルトで固定するだけだから、試作時に位置の調整とかも容易だし、壊れても、溶接じゃないから簡単に交換できるし、フレームに穴あけなんかも必要ないし、我ながらよく閃いた!

でも、すぐに忘れるので、こうやってメモっておきます。

原木を送るチェンドライブ、これをどうやって安く作るかは、考え中。。。

薪ラック

PackFix はいいもんだと思うんですが、いかんせん高い。
ある程度の規模でないと、イニシャルコストが大きすぎるし、使わない時にも場所を取ります。
ランニングコストは非常に安いみたい。

ウッドバッグは、イニシャルは不要ですが、薪を入れるには惜しいほど高品質、で高額、結果ランニングコストが非常に高い。

こう言うの痛し痒しっていうんでしょうね。

あと、それ以外の選択肢としては、メッシュパレットが 1m3 がありますが、少なくとも、薪屋をやるレベルでは、コストをペイすることは不可能です。チャイナで買い付けても FOB で $50 するので、投資利回りを 10% で考えれば、年間のカゴのコストは $5 になるため、300 基(40 フィートコンテナ 1 本分)導入したら 200 万の投資になるので、PackFix (100 万 + 輸入経費の投資)のほうが多分有利。
厳密にいえば、PackFix は繰り返し使えるとはいえ、下敷きのパレットが必要なのですが、スケーラビリティでいえば、圧倒的に優れるし、中古パレットはただ同然でいくらでも出てくるので。

大コンというらしいですが、北海道あたりでは、玉ねぎやじゃがいもの収穫用の巨大鉄コンテナがあるようです。
容積と価格を考えると、メッシュパレットのほうが優れるし、ハンドリングの容易さという点でもメッシュパレットに軍配が上がります。

Unknownで、その中間というか、前から youtube で見かけて気になっていた製品ですが、ようやく特定したので、忘れないうちに書いときます。

japasacking rack です。

枠自体は買う価値もないほどシンプルですね。
だから、袋だけ買えばいいはず。

でも、肝心の袋はどこで売っているんでしょうね。。。

システムに組み込まれて稼働しているビデオはこんな感じ。

このパターンだと、PackFix よりもイニシャルは低め、ランニングコストは若干高め(袋に加工するコスト分多分高い)、スペース効率はこちらは立方体にバンドルできるの優れ、手間的には殆ど変わらないレベル、と推測されます。

まあ、容量が PackFix 1.7m3 に対して、sacking rack は 1m3くらいなので、倍くらいの頻度で作業が中断するデメリットはあるかと思いますが、逆にいえば、比重 0.85 で 1 solid cubic metre = approx. 2.0 – 2.4 loose cubic metres ってことで、重量換算すれば乾燥した状態なら 350kg 程度と軽トラックで積載オーバーになりませんし、重心も低いから、薪を持ち帰りで購入してくださったお客さんも安心して帰れると思うわけです。
地方で軽トラが普及している環境では、非常に良いパッキング手段だとは思いませんか?
パレットは返してくれなくても、大した損害にはなりませんし、1kg 30 円程度で考えれば、一つ 1 万とキリの良い売価にもなります。

今のところ、ベストとはいわないけど、自分の周りの環境を考えると、非常に良いソリューションと感じています。