薪割り機が届きました!

新しいアメリカからの輸入経路であったため、書類などのやり取りでかなり時間がかかってしまったのですが、ようやく薪割り機などが届きました。

Ariens の 22t、縦横兼用型で、エンジンは珍しい、スバルの垂直出力軸が載っています。

実機を見るのは実は初めてです。

ざっと破損がないことを確認しましたが、気づいた点をいくつか。

流石に 22t ともなるとシリンダが太いです。

他に良い点としては、作動油の容量が 4.5 Gal あることです。
こういうコンシューマ機は、容量が少なめのことが多く、温度が上昇しやすいことがままあります。
また、オイルフィルターも搭載しています。

油圧ホースも一応は保護されていますし、値段の割に非常に高いクオリティだと感じました。

反面、ポンプの能力は 11 GPM で、22t と 60cm のストロークのため、サイクルタイムが 13 秒と、Brave の倍かかります。
まあ、Brave も同じ 11 GPM で、往復で割るのでサイクルが半分になるので、当然といえば、当然ですが。

重量は、367 lbs ですから、二回り小さな Brave と大差はありません。
当然、使っている鋼材が薄い、ということになりますから、それが耐久性にどのように影響するのか、というのは気になる部分です。

見ての通り、畳むとかなりの高さになり、個人で使用する薪割り機としては、かなり大型の部類になるかと思いますので、縦横兼用型である、ということを優先しない場合、Brave のほうがトータルバランスは良いように思います。
つまり、持ち上げられないほど太い玉をどの程度割るのか、ということになるわけです。
このあたりは、個人の趣味の世界ですから、どちらが優れているとか、そういうことではないですね。

なお、Ariens は売約済みです。

今回は、Brave DUAL 20t も 1 台入ってきました。

こちらも売約済みだったのですが、うちで使っていたデモ機をお買い上げくださったので、フリーの状態です。

アメリカからの貨物を安定して輸入できることがわかったので、組み立ててフィルタなどの装備を追加した後、配達し、使い方の説明をした上で、保証をつけての販売を始めました。

在庫 1 台のみです!

薪の長さ・太さについての考え(その 2)— 欧米での薪づくりの方法と薪事情

ここ数年、アメリカはさておき、日本にも多数入ってきているヨーロッパのストーブと、そのヨーロッパでの薪生産側の事情について調べていて、勝手に推測していることがあります。

薪屋を始めるにあたって、生産の省力化のため機械化を図ろうと、薪製造機について調べていた時、欧米と日本の薪生産のスタイルの違い、また、ヨーロッパとアメリカとの違いに気づきました。

自分は大日本帝国方式と呼んでいますが、大東亜戦争の時、空港が爆撃されると大日本帝国は兵隊さんが「気合」とツルハシ・モッコでもって人力でやっていたわけですが、それと同じ、下手をすりゃ、気合と斧で割っているわけです。

その時米軍は、葉巻を吹かしながらブルで押していたんでしょうけど。

まあ、何事も技を極めようとするのは日本人の美徳でもありますので、悪いことばかりではありませんが、今、この時代においても、自衛隊の土嚢の積み方ひとつ見ても、我々の非合理的とも思える形式美に拘る様子が見て取れます。
お客さんも日本人なので、形式美に拘る、ということでもあるんですが。。。

一方アメリカ人の場合、youtube なんかにたくさんあるので見れば一発でわかりますが、樽のようにまるまる太ったおじさんが、アホのように巨大な丸太をバキバキとぶち割って、満面の笑顔でご満悦、いわゆるドヤ顔で〆るというパターンの動画ですが、デカさとパワーで勝負するタイプです。

基本的に、何も考える必要はありませんよね、ただ単にデカくするだけですから。まさにアメリカン。

この方式も悪くはないんですが、木ってのは、大げさに表現するとカラーコンのように円錐になっているわけで、かつ、幹だけでなく、枝の部分もあり、大部分は細いのです。

なので、最も太い幹の部分を処理しようとしてサイズをどんどんでかくするのはとても効率が悪く、大は小を兼ねません。

それではヨーロッパではどうでしょうか?

ヨーロッパでは、太すぎる原木に対しては、ある程度までは、薪割り機自体を大きくして対処しますが、大きすぎるものは、下処理をして、普通サイズの薪割り機が使えるようにする、という発想がアメリカよりも強いように感じます。

アッグ的薪割り機、と勝手に呼んでいますが、通常は、コーンスプリッタと呼ばれています。

回転する円錐が食い込み、押し広げ割ることができるだけでなく、突き刺して移動したり、回転を利用して向きを揃えたりすることができる、とても便利なアタッチメントで、うちでも部品を輸入して ViO-30 のアタッチメントとして利用しています。

もちろんヨーロッパでもアメリカ的発想のものもありますが、特徴的な作り方があり、それは 1m(くらい)の長さで作る、というものです。

まあ、動画にあるとおりです。

1m のままで割り、背景のように積み上げることもあれば、bullet bundler という機械で 1RM(1m3)で束にすることもあります。

それを後から必要な長さにカットするのです。

これはオートマチックタイプで、長さもかなり細かく設定できます。
この手の機械は、オートマチックタイプから、セミオートマチック、本当にいろいろな種類があるようです。

さて、算数の問題です。
元が 1m で、それを Duo Wippsäge で 3 等分していますが、薪の長さは何センチですか?

そう、大体 33cm になりますね。鋸の刃にも厚みがありますので。

半分に切れば 50cm、1/4 なら 25cm です。

もとの長さが 1m だとすれば、これ以外は端数が出ます。

常識的に考えると、50cm は長すぎるので、33cm というのがお手頃なサイズ、ただし、最近の薪ストーブの小型化・エアタイト化という流れもありますので、ケースによっては 25cm なのではないかと推測しています。

えらいフリが長かったのですが、薪の長さとして、ヨーロッパではそれくらいのサイズが主流と仮定すれば、炉に入る最大の長さは別として、メーカサイドもそういう市場に流通している薪のサイズも意識してストーブを開発しているはずです。

Duo Wippsäge 的なものは多数見るので、流通量を調べたわけではないのですが、おそらく、50, 33, 25cm のうち、33cm がもっと多く流通しているのではと思います。

日本の薪ストーブを取り巻く環境を考えると、50cm は現時点のアンケート結果に照らし合わせても明らかに長過ぎるし、25cm はクリティカルな問題があり、それは、薪棚などの保管環境がほぼ未整備であるという点で、薪ネットなどと合わせて、今後、お店でも提案を強化していかないといけないジャンルであると思うのですが、製品化は明らかに時期尚早です。

そのため、うちでは販売用の薪は、40cm の生産を停止し、33cm で作っており、それを 35cm と呼称しています。

35cm というのは、薪製造機の構造上、原木が斜めになった場合、切断長を 33cm にセットしてあっても、それよりも長く切断されることがあり、当然ですが、お客さんは炉に入る最大の長さを念頭に薪の長さを決定するので、殆どが 33cm でも、表示は一番長い、それ以上の長さのものはない寸法で行う必要があると考えているためです。
実際には、30 — 35cm の範囲になりますが。

とまあ、あくまでも生産する・販売する、という立場で考えたことですが、現時点での薪のベストの長さ 33cm というのは、そういう背景から導き出した数字、ということになります。

長さだけではなく、割のサイズについても、北欧の薪の規格を元に、別のエントリーで書いていきたいと思います。