花粉症ゼロ?

選挙も終わったんでもう書いていいと思うので書きます。
支持している人もいるとは思うし、政治のブログじゃないんであまりこういうことは書いてこなかったんですが、この花粉症ゼロに関しては、土台無理だと思うのです。

問題の解決には、基本的に原因療法と対症療法があるわけですが、対症療法=一時しのぎですから、原因療法で解決するとします。
そうすると、アレルギーの原因物質を取り除く、ということが必要になるわけです。
で、花粉症といえば、まず、スギ花粉です。
別にスギに限らずアレルゲンは様々でしょうが、キリがないので、まずはスギにだけフォーカスしましょう。

スギ花粉の問題は、時系列的に整理すると、

  • 戦後、大量に杉を植えた
  • 都市化により土地が土や草原からアスファルトやコンクリートなどの花粉が吸着・分解されにくい地盤となり、一度地面に落ちた花粉が風に乗り何度も舞い上がって再飛散するという状態が発生するようになった
  • 排気ガスや工場からの排気などの光化学スモッグなどを長期間吸引し続けることでアレルギー反応が増幅され、スギ花粉症を発症・悪化
  • 花粉の少ないスギへの移行を計画するも、輸入木材の普及による林業の荒廃・林業従事者の減少の問題などから、植え替えや伐採も難しくなっている

という流れです。

で、この問題ですが、伐採すればそれで終わり、という安直な考えで解決したとするとしてもです、一番の問題は林業従事者の減少についてはどうするつもりなのか、ということです。

上の図は、林野庁から拝借 しましたが、要するに、林業従事者は、どんどん減る一方であり、速報値で 5 万人を切る所まで来ています。
とにかく、従事者が少ないのです。

その上にです、これだけ少ない従事者なのに、年間、以前 50 人近くが命を落とす、本当に過酷な労働環境なのです。
50/500,000 = 1/1,000 です。40 年従事すれば、1/25 の確率で労災事故で死人が出るってことですよね?

うちも林業従事で労災を掛けていますが、ずば抜けて料率が高いのです。
危険極まりない労働の代名詞である鉱業の中の「金属鉱業、非金属鉱業 (石灰石鉱業又はドロマイト鉱業を除く。) 又は石炭鉱業」が 88, 建設業全体の中の「水力発電施設、ずい道等新設事業」 79 という具合で、特に危険な事業のみの料率対して、林業は林業そのものが 60 で、その他の業にあっては 3 です。(出典 労災保険率表(PDF)

無論、高性能林業機械の導入なども少しずつ進んで労働環境は改善されていると思うのですが、全部伐るだけ、搬出もしません、更新もしません、というようなアホなことをするにしても、圧倒的に人が足りないと思うわけです。

皆さん、どう思いますか。

平成 24 年の数字で、4,901 百万立方メートル蓄積量があるらしいのですが、つまり、49 億 m3 で、それが毎年 1 億 m3 くらい増えているとかなんとか。

それと、今言っているのはスギだけの話であって、花粉ってスギだけじゃないんですが。。。

20% の削減ですら達成できていないのに、いきなりゼロです。

まあ、こういう「希望」は土台無理があったようですが、ホラというのは、デカければデカイほどバレないとも言いますし、実現する気がないなら、大風呂敷も広げ放題です。

その反面、夢や希望というのは、叶える、実現するためにあるわけですし、まずは望むこと、目標を持つことは大切だとも思うわけです。

その動機が石原慎太郎のように自分が花粉症になった、というような政治をする人もいるんですが、ある意味当事者にならないと、気づきづらいということなのかもしれません。
緑色の某党も、どなたかが花粉症なのかもしれません。