シーケンス弁

薪割り機の話です。

昨日、T さんに配達に出られるほど薪ができていないという話をしたときに、生産性の高い薪割り機の話が出たので、忘れないうちに今考えていることを書いておきます。

少し前に SPLITTA 400 のことを書いたんですが、これ、業務用として考えるととてもリーズナブルなんですが、ただ材料費を推定すると、とても高いんです。

まあ、オスプレイが 15t で鉄の値段はトン 1 万だから、実質 15 万 という漫談も思い出されますから、モノの値段というのは、とても複雑なファクターが絡み合っているわけで、一言でいえば、その人が欲しいと思ったらズバリ買い時、としか言いようがないものだとは思います。

それで、この薪割り機、動作原理としては、ものすごく原始的だと思うのです。
無論、噛み込んだ時どうするのか、あるいは、玉がなくなったらどうするのか、なんて課題もあるんですが、それをは無視して良いことかなと思うのです。
なぜなら、割れなかった場合は、シリンダが規定の圧力まで達して、フルストロークしたのと同じ状態にあるわけですから、それを検出して、シリンダをちぢめる行程に移ればいい。
玉がないは、空気を割ればいい。
無論、玉がないことを検出するための仕組みは必要でしょうけど、それは例えば、玉がなくなれば、レーザ等で検出して、油圧ユニット自体を停止してしまい、パトライト等を点灯して、玉の補充を促せば済むことです。

なので、実現すべきことは、

  • 薪を割る
  • 玉を送る

で、これをひたすら繰り返すわけです。

書くと簡単、じゃあどうするかという話で、解決する課題は二つあります。

一つ目は、二つシリンダ、玉送りシリンダと、薪割りシリンダの動作順序を制御すること。

これは、シーケンス弁というもので実現できると思うのです。

例えば、ユニックのブームを伸ばしたり縮めたりするときに、適当に伸びないで、順番に伸びていきます。
それを可能にするのがシーケンス弁という部品のようです。

シーケンス弁
シーケンスとは、あらかじめ定められた順序に従って各段階ごとに制御するという意味です。シーケンス弁は、別々に作動する二つの油圧シリンダの一方の作動が終了したら、もう一方の油圧シリンダを作動させる場合に用います。移動式クレーンでは、ジブの伸縮回路で作動順序を制御するために使用されています。

一次側の油圧が設定圧又はそれ以下の時には、スプールが押し下げられた状態で二次側への油路を閉じています。一次側の油圧が設定圧を超えるとスプールが上に押し上げられて二次側の出口が開きます。なお、シーケンス弁には、スプールを上に押し上げようとする力(パイロット圧)を外部から取る構造のものがあります。

つまり、玉送りシリンダの圧力が例えば、2,000 PSI を超えると、薪割りシリンダ側に出口が切り替わるようにすることで、動作順書を制御することができるのではないかと思うわけです。

シーケンス弁自体は、Prince Mfg のものがパイロット圧 1400 — 2500 PSI, Inlet/Sequence Ports 3/4″ NPT の RD1075SH Sequence Valve が $130 程のようです。

二つ目は、シリンダの伸縮を繰り返す方法です。

一回だけであれば、Auto-Cycle Valve でいいんでしょうけど。
以前書いた Price Mfg 以外にも、Brand のもの もあるようです。

複数回繰り返し続ける方法ですが、薪乾燥機の chip bin から chip を取り出す機構、彼らは wedge floor と呼んでいたんですが、その制御弁で可能になるのではと思っています。

wedge floor ですが、羽のようなものが左右に一対あり、2 本のシリンダで制御されている構造で、右が伸びるときには、左が縮むように組み付けられています。

シリンダの制御は、一つの制御弁が行なっていて、チップが必要になると、専用の油圧ポンプが駆動されて、圧油が供給されるようになるのですが、その制御弁は、シリンダがフルストロークすると自動的に向きを反転するような仕組みになっているようなのです。

よって、この制御弁、名前は知りませんので、自動弁と呼びますが、自動弁には、IN, OUT と WORK A, B がありますから、普通の薪割り機のコントロールバルブ同様に、A, B にシリンダに行くホースを繋げば、あとは勝手にやってくれるんだろうと思うわけです。

回路図的には、

のようになると思いますが、手動 2 方向切り換え弁の部分が自動弁となります。

自動運転なので、生産速度が問題になることは、ほぼあり得ないとは思うんですが、もしそういう事態になれば、増速バルブを薪割りシリンダーの前に挟み込めば、生産性のさらなる改善が見込めます。

まあ、いっぺんにはムリなので、ゆっくり進めたいと思うのですが、今後階段を一段づつ登るとして、次のように計画を進めたいと思います。

  • 油圧源の電動化
  • チップトレーラ(あるいは、チップ箱)の開発 → wedge floor 的な排出機構を有する輸送装置の作成

油圧源の電動化については、次の貨物に必要となるであろうものを一通り積み込んであるので、PCLS2013GC を電動化を試みたいと思います。
この試みにより、JIS 規格の普通の三相モータと米国製のポンプとの組み合わせが可能になる見込みです。

wedge floor 的な排出機構を作成する過程で、自動弁についての知識が深まるので、シリンダの往復運動を機械的に実現できるようになるのではと思っています。

以上が可能になれば、シーケンス弁との組み合わせで、SPLITTA 400 と同等の薪割り機を安価に開発・製造できるようになるのではと思っています。

まあ、似たものはできるかもしれませんが、まともなものがそう簡単に作れるとは思いませんが、薪割り機等のは、薪屋にとってはとても重要な設備ですから、内製、あるいは、その運用を自らのコントロール下に置くことは、極めて肝要であろうと思うのです。

日本では、薪製造関連の機器の供給は、ほぼまともに行われていない現状がありますし、まともな会社は価格がまともではないので、結局はまともでないと感じています。

どことか書くと角が立つんだろうから、一応どことは書きませんけど、業務用の機械を入れて、油圧ポンプが死んで、数ヶ月待たされた話とか聞くと、高品質などを売りにしているブランドでも、随分お粗末な対応だなと思ったりして、そういう状態のところが代理店であるがために、そんなところを通して部品を調達しないといけないことの方がリスクでしかないと思うので、日本に排他的な代理店がない方がかえって清々しくていいかなと思ったりするわけです。

まあ、今年は暖かいので、薪が全くと言っていいほど売れていないし、乾燥機の稼働が遅れて、山で保管している間に、結構痛んでしまったものがあったりで、それらをなんとか処分しないといけないとか、新しい設備に投資する余裕が全くないのが現状なので、勉強するのはほとんどタダなので、当面は、研究活動に専念したいと思います。