チェンソーの輸入の問題(再)

I さんにチェンソーのことを訊かれたので、輸入する場合の注意点について、記載しておきたいと思います。

薪ストーブや薪割り機同様、チェンソーについても、依頼があった場合には輸入を代行いたします。
ただ、チェンソーの場合、注意すべき点があります。

整理すると、

  • 労働安全衛生法の問題
  • 故障時の問題
  • PL 法の問題
  • コピー商品等の問題

などが考えられます。

まず、労働安全衛生法の問題ですが、40cc 以上のチェンソーは、林業機械化協会のワッペンがついているのは皆さんご存知のとおりだと思いますが、これ、条文を読んでみても、「林業機械化協会のテストを受け、合格しなければならない」などとは一言も書いていません。にも関わらず、知恵袋 を見れば、一定の知識を持っている人でさえ、条文に書いていないことを書いているわけです。まあ、既得権を守るための工作員かもしれませんけど。

労働安全衛生法(昭和四十七年法律第五十七号)第四十二条の規定に基づき、チェーンソーの規格を次のように定める。

(振動の限度)
第一条 チェーンソー(労働安全衛生法施行令(昭和四十七年政令第三百十八号)第十三条第三項第二十九号に掲げるチェーンソーをいう。以下同じ。)は、別表第一に定める測定方法により測定された振動加速度の最大値が、二十九・四メートル毎秒毎秒以下のものでなければならない。
(ハンドガード)
第二条 チェーンソーは、ソーチェーンの切断等の際にソーチェーンにより後ハンドルの手に生ずる危険を防止するためのハンドガードを備えているものでなければならない。
(キックバックによる危険防止装置)
第三条 チェーンソーは、キックバックを防止するための装置又はキックバックに伴うソーチェーンによる危険を防止するための装置を備えているものでなければならない。
(表示)
第四条 チェーンソーは、見やすい箇所に次の事項が表示されているものでなければならない。
一 製造者名
二 型式及び製造番号
三 製造年月
四 排気量
五 重量(のこ部を除き、かつ、燃料タンク及びオイルタンクが空である状態における重量をいう。)
六 振動加速度(別表第一に定める測定方法により測定された振動加速度の最大値をいう。)
七 騒音レベル(別表第二に定める測定方法により測定された騒音レベルをいう。)

出典 チェーンソーの規格|安全衛生情報センター

さて、知恵袋 に書いてあるように、第 4 条に定められている表示は、林業機械化協会に「みかじめ料」を払って、ワッペンを「買う」必要があるのでしょうか?
JETRO の見解では、「自認」でよい、ということでした。(リンクが切れていてソースを辿れません
つまり、ハスクバーナであれば、本国の仕様書(カタログ)の数字をそのままシールを作って貼れば、それで合法、ということに JETRO 的にはなる、ということです。

この件について、労働安全衛生法の管轄省庁に数回問い合わせを行いましたが、煙に巻かれてきちんとした回答が得られていません。
最終的には、司法判断になるわけですが、判例などご存じの方がおられたら、コメントいただければと思います。

で、法は法です。法を守ることは、他人のためというよりも、むしろ自分のためであります。
労災の問題などがありますが、輸入品で自認のシールを張ったチェンソーで万一事故があった場合、それが適法であるかどうかについてトラブルが合った場合、余計な手間がかかります。
かと言って、内外の価格差が許容できるか、というのはその人それぞれが判断すべきことです。
あくまでも、林業機械化協会での試験を受ける必要はない、という見解が適法という前提で書いていますので、その点は十分ご留意ください。

次に故障時の問題です。

まず、故障時については、近くの農機具屋・チェンソー屋での修理は難しいかもしれません。
理由は単純で、輸入品について、正規ルートからは部品が出ないからです。
また、アフターサービスの面もあるので、購入していない商品のサポート・修理のみ、というお客さんが敬遠されるのも当然かと思います。

海外での部品の購入方法やその際のコストなどは、このブログにも輸入の顛末がありますから、興味があれば調べてみてください。
イニシャルコスト(購入時の機械代金)は、「正規品 > 輸入品」、となりますが、部品コストは「正規品 ≦ 輸入品」となります。
輸入品の部品は輸入する必要があるので、時間を短縮すれば送料がかさむ、という問題があります。

この辺の損得勘定は、あくまでも自分の利用頻度や使っているモデルの国内価格と海外価格、複数の要因が複雑に絡み合って成立するものですから、ホント、人それぞれだと思います。

続く、PL 法とコピー商品の問題は、これはうちには該当しないのですが、PL 法は、商品の製造に関して問題があり、それで事故が起こった場合、製造者が責任を取り、輸入品の場合、輸入者を製造者とする、というものです。
うちの場合は、保険に加入しています。
コピー商品は、主にアルとかニダとか、あちら方面の話だと思いますが、まあ、これは信頼できる店で買うしかありません。
尤も、ハイガー産業がチェンソーを売っていて、それが売れているようですから、自分が気にしすぎなだけかもしれません。

最後に、エントリークラスのチェンソーは、海外との価格差が極めて少なくなっています。
チャイニーズコピーなどの極めて安価な製品に対抗するためではないかと推測しているのですが、いずれにせよ、TCO で考えても、最初の一台は、エントリークラスの正規品を買うのが良いと思います。
右も左も分からない時は、サポートも含めて、チェンソーのある「生活」を購入するのが良いと思います。
ただ、店には、色々なグッズがきれいに陳列してあり目移りするという問題点がありますけど。

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2 thoughts on “チェンソーの輸入の問題(再)

  1. 林業機械化協会が官僚の天下り先、利権団体と言うことは別にして
    労働安全衛生法で求めている試験を行い
    要求を満足しているのを証明している団体の一つと言うだけです。

    試験内容はJISに載っていたはずですよ、詳しいことは忘れましたが・・・

    輸入品の場合、メーカーの公称値がJISで要求されている試験内容で行った
    試験データーであれば良いですが
    試験方法が異なっているデーターだとダメかも知れませんね。

  2. 振動加速度と騒音レベルについては、測定法が定められてますね。
    これを満足しているか、という点だけですね。
    逆にいえば、これを満足していれば、林業機械化協会でなくても良いということでしょうね。
    まあ、これは禁じ手でしょうが、450 のように日本で売られているので、同じ仕様なら、日本で売られているものの数字を援用すれば、それで済んじゃいますね。
    シールの有無を除いて、同じ仕様なら。

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