素晴らしすぎる!太陽熱温水器!

巷では、エコキュートこそがエコロジー & エコノミー、みたいな風潮があるようですが、皆さん、どう感じておられますか?本当にそうでしょうかね?

我々の経済活動には、パレートの法則といわれる、いわゆる冪乗則が適用できるケースが多く、当然に、生活を改善していくには、「何がボトルネックになっているのか」ということを見極める必要があると感じています。

graph02このグラフは、省エネ行動診断(JX日鉱日石エネルギー) さんから引用したものですが、我々の生活の中で、給湯にはエネルギーの約 1/3 弱が使われているわけですね。

さて、どこから改善しようか、と考える時、もちろん、最もエネルギーを使っている、動力・照明他などについてまず着手することもできるでしょう。しかし、家はたくさんの照明器具があります。LED などに更新することでエネルギー効率を改善することはできるでしょうが、手間も費用もかかりますし、それでも消費するエネルギー自体 0 にはなりません。センサー式にする、というような改善もありますが、やはり 0 にはなりません。原始的に、こまめに照明を切る、という方法も有効ですが、その都度、手間=コストがかかります。

これに対して、給湯器って、ふつう家に何台もないのですから、1 箇所の改善で済みます。そういう意味ではもっとも手っ取り早く改善できる「ボトルネック」は、給湯である、そう言えるのではないでしょうか?

さらに、ここで使うエネルギーを 0 にすれば、一気に光熱費を 30% も削ることができるわけです。

そんな夢みたいな話があるのでしょうか?

ズバリ、あります!それは、太陽熱温水器です。

このエントリーでは、太陽熱温水器マニアになってしまった自分のウンチク、もとい、独断と偏見を書いておきたいと思います。

まず、太陽熱温水器について、もしかしたら、ご存知がない方もいらっしゃるかもしれないので、ちょっとだけ説明しておきますね。

swh太陽熱温水器は太陽からの熱で水を温めお湯を作る装置で、狭義には、Wikipedia からの引用ですが、写真のようにタンクと集熱部分が一体になっていて、タンク上部から重力による排水により取水し、減った分をボールタップで給水する仕組みのものを指すことが多いようで、概ね 200L くらいの貯湯量があります。重力により、取水する仕組みであるため、屋根の上など、日当たりが良く落差が稼げる部位に設置されます。

このタイプは、冬場にはほとんど使い物になりません。

重力式以外にタンクと集熱装置が分離したものがそうとう昔からあり、うちでも京セラの SON OF SUN(Son of the Sun じゃないとのツッコミを入れたい気もします)を 30 年ほど使ってきましたが、それこそ車が買えるほどの高額な製品でした。さすがにこちらは、冬場でもちゃんとお湯がわきますが、いかんせん高すぎてほとんど普及しませんでした。

とまあ、世間一般の認識は、太陽熱温水器=あまり使えない、そういう印象ではないのでしょうか?

ですが、実は、密かに進化していたのであります。

で、どういう進化があったのか!?早速、紹介していきたいと思います。

進化その1 真空管断熱!

Unknownうちで使っているのは、FUJISOL というスペインの会社のもので、太陽光さんから買ったものなんですが、写真を見れば、今までのものとは違いが一目瞭然です。

ガラスのチューブが並んでますが、このチューブは、内部が真空になっています。真空の部分は、太陽からの光は通すので内部の水を暖めることができるのですが、熱は逃がさないので沸かしたお湯が冷めにくい構造となっているのです。そのため、真冬でも熱が逃げにくいので、お湯をわかすことができるんです。

今までの平べったい集熱板のタイプは、冬は熱が逃げてしまい、お湯を沸かすことが困難でした。

進化その2 制御器と電磁弁!

Unknown-1うちはこの図の通りの構成なのですが、いくつかの劇的な改善があります。まず、制御器 S-3 ですが、この制御器により、タンク内の湯量・湯温を把握できるようになりました。

太陽熱温水器は、構造上離れた箇所に設置するため、比較的長いパイプで浴室まで引きこんであるため、しばらくはパイプ内に残った水が出ます。よって、どの程度の温度になっているのかは、感に頼るか、実際にお湯を取り出して確かめるしかありませんでしたが、お湯が出てくるまでに時間が掛かる問題がありました。

そして、電磁弁によるメリットも非常に大きなものです。

まず、今までは、水を送るパイプとお湯を取り出すパイプと、2 本の配管が必要でしたが、電磁弁により、パイプが 1 本だけで済むようになりました。このことは、導入時に工事の負担が軽くなることを意味します。

そのことよりも更に大きなメリットがあります。

上にすでに書いた通り、今までの太陽熱温水器は、ボールタップ給水でしたので、タンクからお湯を取り出したら、同じ量の水がタンク内に注がれてしまいました。夏場はタンク内のお湯が熱湯に近い状態に暖められるので、少々温度が下がっても問題はないのですが、冬場、タンクのお湯が 40 度くらいの時に、10 度くらいの水を混ぜられては、加温しないと入浴できなくなってしまいます。

しかし、電磁弁を利用することにより、水をたさずにお湯を取り出せるため、タンクのお湯をお湯のまま最後まで使うことができるようになりました。

減ったお湯は、制御器 S-3 が監視しているので、自動的に回復されます。

もちろん、制御器 S-3 を使わず、ボールタップ給水で使うこともでき、この場合、電気は全く必要がありません。しかし、制御器 S-3 が使う電気は、ごくごく僅かです。太陽光さんは、一ヶ月に 1kWh も使わないとおっしゃってました。実際に、このエントリーのために裏をとるため、エコワット(消費電力計測器)で図っているのですが、3 日たっても、0.00kWh の表示のままです。本当に殆ど使わないようです。

進化 その3 2 種類の廉価な直圧式

基本的に太陽熱温水器は落差(重力)によりお湯を取り出す仕組みですが、落差が不十分だと水圧が低くなってしまいます。通常は、湯船に対して、太陽熱温水器専用の蛇口を追加して、お湯を利用しますが、シャワーが使えないなどの不便さもあります。

これに対して、水道の圧力をかけて良い構造を持った廉価な太陽熱温水器が登場しました。圧力を掛けることができるものを「直圧式」といいます。

圧力を掛けることができるため、その圧力でお湯を押し出せるため、高低差が不要になります。
また、耐圧容器は密閉されていますから、空気が入ることがなく、衛生的になりました。

仕組みには大きく分けて今の時点では 2 種類あって、一つは、ヒートパイプと呼ばれる、特殊なガスを封入した銅管を組み込んだ集熱管を利用する方法、もうひとつは、今までの重力式のタンクの内部に熱交換器を組み、水をその場で温水にする方法です。

ヒートパイプ方式のほうが仕組みが複雑なため高額になりますが、この方式の利点は、集熱管部分が凍結することがないため、寒冷地に対応している点です。

ミキシングバルブ等を介して、ガスや石油の給湯器に直結できるため、シャワーや給湯器自体が有する自動湯はり機能などを利用することができ、温水器の存在を意識する必要は全くありません。

あくまでも、愛媛という温暖な立地、松山市の補助金の仕組み、などの環境による要素もありますが、高所へのタンク設置に問題がないのなら、重力式+制御器 S-3 の圧倒的なコストパフォーマンスにまさるものはないと思います。

やたら褒めていますが、FUJISOL ならびに、太陽光さんとは、当方は一切関係がありません。
真空管式の太陽熱温水器は、他に寺田鉄工・サーナスMMC もありますので、興味を持たれましたら、チェックしてみてください。

最後になりましたら、太陽熱温水器は本当に、環境にいいものです。

ただし、晴れていないとお湯はわきません。
何だ、不便じゃないか、と思いますか?
でも、落ち着いて考えてみてください。
蛇口をひねれば、無尽蔵にお湯が出てくる事自体が、異常なのです。

コンセントから送られてくる電気の残量は気にしますか?
蛇口から水が出なくなることを気にしますか?
仮に、気にするとしても、料金のことであり、エネルギそのものの枯渇ではないのではありませんか?

うちは井戸ですから、水を使いすぎれば井戸は枯れます。
薪ストーブで薪の残量を気にするのと似たようなものですかね?
エネルギーや資源は有限なんです。

それを無尽蔵と勘違いして、使う。
その結果が、原発を作り、事故を起こし、何世代、いや、何十・何百・何千世代先の子孫に負債を押し付けたわけです。

自分が得たエネルギーの範囲で生活をする。
あまりに当たり前のことではありませんか。
そのことに気づける、というよりも、無理やり実践させられるのが、太陽熱温水器かなと思います。