今日から 7 月

今日から 7 月。
朔日なので神社の巡回です。
今年も半分終わってしまいましたね。

最近、賽銭泥棒のニュースが続きました。

秩父では、賽銭泥棒が Twitter で晒されて、御用に。
納得いかないとか、訳のわからないことをいっているようです。
捕まったのは秩父市在住の無職・平重壽(64歳)という不届きもの。

それで、この秩父今宮神社の宮司さん、弁護士でもあるんです。
うちの神社も賽銭泥棒の被害はよくあるんですが、顔等が写っていても、警察は一向に捕まえる気配がありません。
何度も被害にあったのち、ネットで公開して自分で捕まえると告げたら、やめて欲しいというんですよね。
この件、塩谷さんに聞いてみました。

賽銭泥棒や万引きなどの犯人を特定するような画像を公開することが許されるかどうかはケースバイケースですが、今回は、下記の事情を考慮し、公開に踏み切りました。
やや難しい話になりますが、参考にしてください。
(名誉毀損罪)
刑法第230条 公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者は、その事実の有無にかかわらず、3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金に処する。
(公共の利害に関する場合の特例)
刑法第230条の2 前条第1項の行為が公共の利害に関する事実に係り、かつ、その目的が専ら公益を図ることにあったと認める場合には、事実の真否を判断し、真実であることの証明があったときは、これを罰しない。
2 前項の規定の適用については、公訴が提起されるに至っていない人の犯罪行為に関する事実は、公共の利害に関する事実とみなす。
〇「名誉毀損」=公然と具体的な事実を示して、特定個人の社会的評価を落とすこと。
〇「その事実の有無にかかわらず」→真実を暴露しても名誉毀損罪が成立する
〇処罰阻却事由(230条の2)
 真実を暴露することが社会のために必要な場合がある。そこで、憲法が保障する表現の自由と個人の名誉との調和の観点から、公然と示されたその具体的な事実に、(1)公共性が認められ、(2)公益を図る目的があり、(3)それが真実であれば、名誉棄損とはならない。
これを、本件についてみると、防犯カメラに記録された犯行現場の映像を公開することは、公然と、具体的な事実を示して、当該犯人の社会的評価を落とすことになるので、形式的には刑法230条の「名誉棄損」にあたりそうです。
しかしながら、下記のとおり、本件は230条の2により、名誉棄損罪の処罰の対象とはならないと考えます。
(1)公共性
 防犯ビデオに映っている犯行現場の映像は、起訴される前の犯罪行為に関する事実であるから、「公共性」が認められる(刑法230条の2、第2項参照)。
(2)公益目的
 賽銭泥棒の現場の映像を公開することにより、犯人の早期検挙と、頻発する賽銭泥棒の事前抑止を動機とするものであり、社会全体の利益を図る目的によるものである。
(なお、個人的な怨恨や、犯人を貶めたり、被害弁償を求めるといった個人的な動機から、顔写真を晒すような行為は、公益目的が否定される可能性があるので注意が必要)。
(3)真実性
 単なる「疑い」でなく、実際に真実性が証明されること(証明可能な程度の真実性)が必要。今回のケースでは、明らかな犯行現場の現認であるから、真実性の証明は十分に可能と判断した。
付言すれば、「顔写真」そのものを公開することは、特定個人への報復の性格が強くなりますが、今回は「犯行現場の映像」の公開ですから、「顔写真」そのものを公開することに比して、犯人の人権侵害の程度は低く、その分、公益目的は肯定されやすくなると考えます。
以上の観点から、ビデオ映像の公表に踏み切りました。
付言すれば、
1)実際、Twitterでこの映像をご覧になった方から、よく似た人がいると警察に情報提供があり、それが犯人検挙に結び付いたということで、結果的にも、公共性、公益性は充足されたものと考えています。
2)当社の防犯カメラはいわゆる「隠し撮り」ではなく、堂々参拝者から見えるところに設置し、さらに「防犯カメラ作動中」のステッカーも目立つように貼って、犯罪行為の牽制を行っており(神社として、参拝者を録画する行為が適切なのかどうかという議論はあるかもしれませんが・・・)、犯人も当然にそれを認識していたはずです。それにもかかわらず、白昼堂々とカメラの前で犯行を行っている点で、自ら名誉やプライバシーを放棄しているといっても過言ではない思います。
3)どうやら犯人は、賽銭泥棒の常習犯であると思われます。実際、当社の過去の防犯ビデオの録画を遡ってみたところ、当社に頻繁に姿を見せており、この日のほかに3回も賽銭泥棒を実行している現場を押さえています(これから警察に証拠を提出してきます)。犯人の手慣れた手口からも、常習犯である可能性は高いと考えます。
以上お事情を総合的に考慮し、私としては、映像の公開には問題がないと考えております。
万一犯人が、名誉棄損で訴えてきたら、受けた立つ覚悟はあります。

うちも今後同様の被害があった場合、

  • まずは個人が特定できないように加工した画像を公開して、自主を促す。
  • それでも繰り返し犯行を行い、真実性が十二分に証明可能と判断された場合、かつ、警察の捜査の進展がない場合、ネットに公開して情報を募る

というステップを踏もうと思います。

賽銭泥棒とか、あまり平和ではないんですけど、おニャー様たちは、今日も平和です。

1 号だけ行方不明で、呼んでも出てきません。
歯磨きおやつで誘き寄せました。

午後からは、検品・梱包作業をしました。
少し片付いたところで、17 時になって、本日終了です。