薪に関する数字のあれこれ

薪を売買する、薪の消費量などについて人と話をする、そういう場合に、薪に関して、極力客観的に計量しなければなりません。しかし薪というものの性質上、正確に量ることはとても困難なのですが、どのようにして人々は薪の量ってきたのでしょうか?

今回は、いろいろな量り方について整理しておこうと思います。

まず、体積で量る場合を考えましょう。

薪は、形状が均一でもなく、その性質上どうしても隙間ができ、きっちり積んだ(詰めた)薪の場合でも、1/3 程度の空間ができる、と感じていました。

その空間などの比率に関して、調査してみたところ、POSCH Leibniz の SpaltFix カタログを見ていて、体積の換算が載っていたので引用します。

Conversion table
1 solid cubic metre = approx. 1.4 cubic metres
1 solid cubic metre = approx. 2.0 – 2.4 loose cubic metres
1 loose cubic metre = approx. 0.7 cubic metres

つまり、全く隙間がない状態 → 1.4 倍 → きっちり積んだ薪 → 1.4〜1.7 倍 → 適当に積んだ状態、という感じかと思います。

次に重量で考えてみましょう。

例えば、きちんと薪棚に積み上げた乾燥たくぬぎの場合、比重が 0.85 といわれているので 1m3 で 600kg くらい、ということになります。

計算は、1m3 で比重 1 の場合、1000kg ですから、0.85 なら 850kg、先に示した Conversion table により、1.4 倍に体積が膨らむので、850 / 1.4 = 607kg となります。

比重の話をするためには、含水率の話をしなければなりません。なぜなら、木材は含んでいる水分量が変化するので、含水率により、比重も異なってしまうからです。

一般的には、気乾比重といいますが、木材を自然の環境で乾燥させた時の比重で表します。つまり、きちんと乾燥した薪の比重は、気乾比重ということになります。これに対して、水を一切含まない状態比重を、全乾比重といいます。空気中には一定量の水が存在するので、全乾比重は、非現実的な数字、ということになりますね。

材木の世界では、一般的に乾量基準含水率(全乾法)という特殊な考え方を用います。そして、同じ木を原料にしたものでも、ペレットやチップの場合は、湿量基準含水率を用います。

なので、我々薪ストーブユーザーが注意するべきは、含水率の話をするとき、乾量基準(ドライベース)なのか、湿量基準(ウエットベース)なのか、そのどちらで話をしているのか、お互いがはっきりさせておく必要があるということです。このことは、含水率計の表示がどちらであるか、ということとも等価です。

乾量基準含水率とは、水分以外を基準とし、含まれる水の重さの比をパーセンテージで示すものです。なので、200g の木片があり、完全に乾燥させた時に 100g であったとすれば、それは含水率 100% となります。100% といっても、全部水、という意味ではないのです。そして、100% 以上の含水率もありえます。

湿量基準含水率とは、そのものの重さのうち、水の重さをパーセンテージで示すものです。上記例なら全体が 200g で水の重さは 100g ですから、50% ということなります。

で、話を元に戻して、いのり薪さんが販売している 600kg という重量は、比重が 0.8〜0.9 前後の薪に適した樹種の場合、きっちり積んだ状態での 1m3 単位、ということになりますね。

ルーズに積むと JITBOX にてんこ盛りになっていますが、JITBOX はロールボックスパレットを使うのですが、容量は 1.8m3 ですから、このことからも、上記の比率が概ね正しいと言えそうです。

今は、体積か、重量か、そのどちらかで薪の量を表現することが多いのですが、上記からも分かる通り、体積の場合は、積み方、重量の場合は、含水率など、気をつける点があり、どちらの場合でも、樹種による比重の違いを意識することが大切であることがわかります。

それと、薪に関してのその他の数え方、量り方について、整理しておこうと思います。

日本古来の数え方ですが、束で売ってますから、束で数えますよね。タガ=金輪(針金)で固定してあります。商品の規格としては、36cm または 45cm の長さのものを 70cm のタガで束ね(70/π=φ22cm)、含水率は 30% 以下(ウェットベース)となっています。

次に、石。これは、原木などの取引の単位で、体積です。
直径が 1 尺、長さが 10 尺の丸太、っていう定義なので、0.15 x 0.15 x π x 3 = 0.2m3 ということになりますね。
今でこそ、クレーンスケールなどで簡単に重さを量れますが、昔は簡単に量ることはできなかったのだろうと思いますし、木に含まれる水を買っても仕方がないし、合理的ですよね。

後、番外編、というわけではありませんが、よく海外の薪製造機などのカタログを見ていると、cord という単位が出てきます。

The definition of a cord of firewood for this paper is a tightly stacked 4 foot X 4 foot X 8 foot volume of wood cut in 16” lengths.

ということですが、きっちり積んだ 128 cubic feet ですが、これは、3.6m3です。
乾燥したくぬぎ薪だと、2.1t くらいの重量になりますね。

Screenshot 2014-09-22 03.10.41華麗なるムダ知識コーナー!

こういう単位換算は、Mac の Calulator.app でもできますが、Safari のアドレスバー(検索機能)をつかって、128 cubic feet in cubic meters と入力すれば、Google 先生が教えてくれます。更に合わせ技ですが、4*4*8 cubic feet in cubic meters と入力すれば、計算機能と単位換算機能を同時に使うことができますので、お試し下さい。

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