ネットをさまよっていて、ちょっと気になる記述を見かけました。
薪文化 さん、という和歌山県の薪屋さんなんですが、1 年乾燥薪と、2 年乾燥薪を販売されています。
なんでも、乾燥のさせ方が違うということで、うんちく が書かれているのですが、
薪文化では昨年より、これまで学習して参りました取り組みとして、
二年乾燥の薪作りを始めました。
最も効率よく燃焼する薪をご提供するのが目的です。
良い薪とは、表面と内部がほぼ平均した乾燥水分量である事に加え、
液性の燃焼成分(薪エネルギー全体の30〜35%)も
程好く残している事があげられます。
これらのことを踏まえて、
わたしの自然乾燥においては「二年乾燥が最適では」との考えに至りました。
(もちろん一年乾燥薪でも実用上十分で、安心してご使用いただけます)
薪文化では高品質の薪をお届けできる事で皆様方の笑顔に触れられることを楽しみに
これからも励んでまいります。
ということで、素直に読めば、雨曝しをすることで、液性の燃焼成分が減ってしまう、と理解されます。
液性の燃焼成分って?、と思うんですが、実に 1/3 はそういうものと記載されていて、これが雨曝しでどの程度抜けるってのかが気になるわけですが、燃料として考える場合、それは、燃える成分が多いほうがいい、つまり、抜けない方がいいことは明らかなわけです。
その反面、雨曝しにすることで、乾燥が促進される、とも理解できます。
なぜなら、1 年で、雨曝しにしないで乾燥するのなら、2 年乾燥薪自体、1 年で雨曝しでない薪、という名前で出荷できるはずだからです。
薪の乾燥期間については、あくまでも主観ですが、1 年で十分だと思うのですが、それは、乾いていることが明らかな場合であって、じゃあ、乾いているということをどう保証するのか、というと、積み上がった薪の取りやすいところの一つ抜き取って、半分に割ってものを含水率計でサンプル調査して、それを信じろ、と言っても土台無理話しですから、安全側に振れば、当然、2 年乾燥、ということになるわけです。
ただ、じゃあ、2 年物ですよ、といったところで、管理が悪いなら、いいものにはならないわけですし。
とりあえず、自分は雨に濡らしたくない派ではあるのですが、とはいえ、原木を仕入れて薪を生産して販売するとなると、2 年物を 薪文化 さんと同じようにつくる、つまり、今自分が作っている作り方そのものの訳ですが、これだとお金になるまでに 2 年かかるし、その間、屋根のある倉庫に保管せねばなりませんので、生産できる量もごく限られてくるわけです。
今年はもうすぐ原木が入ってくるわけですが、太陽光発電パネル下のスペースが増えるので、既存の倉庫と合わせて 300 トン程度は乾燥薪がストックできるのですが、これは年の生産量に換算すれば、150 トンですから、ビジネスとして考えると、とても採算が取れる量ではありません。
やはり、雨曝しとの 2 本立てで、お客さんに品質などを判断してもらうしかないですね。
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う~ん、奥が深い!!うちでは、2年乾燥薪・・・樹種によってですね。個人的には、半年雨ざらし、半年屋根付き乾燥でgood♪と考えてます!!乾燥がながければいいって考えはありません。
べっちさん、いつもコメント有難うございます。
乾燥ですが、長ければいいというような風潮があるように感じます。
今回の薪屋さんは、水溶性の可燃成分について着目していますが、濡らさなくても、経年変化、特に虫やカビなどがついたりして品質が劣化するリスクも無視できないと思っています。
雨曝しが薪にどのような変化をもたらすのか、ということについて、深く考慮してこなかったのですが、メリット・デメリットを考えたいと思います。
重松 修さま
初めまして、薪文化の片山と申します。本日の記事に取り上げていただきとても光栄です。
たまたまイタリアの薪製造機を調べていたら貴社のブログに出くわし、拝見した初めての日に薪文化の記事に接したのにはビックリ!驚かされました。
重松さんがとても真摯に薪と向き合われておられまた、疑問に対しての論理的な考察は読者にとってはすごく解り易いので説得力があってとてもわくわくしてます。
さて、薪はどのようなものが最上か?についてですが
①乾燥度合
②大きさ(長さ・太さ・でかさ)
③樹種(燃える速度)
④きれいさ
と大別できそうです。
次に、燃焼装置側との関係が加わり
⑤燃焼効率の度合(ストーブ性能・排煙性能)
⑥熟練度(燃焼技術=燃やすタイミングと組み合わせ)
さらに、
⑦住宅能力(高気密高断熱) ※私見としては健康住宅は開放型と考えていますが。
⑧使用者の欲求度(快適温度・炎と美しさ)
が加わりそうですね。
しかし、薪を単純にエネルギーとして考えたならば、
絶乾が最大発熱なので水分量が少ないほど最上薪となるのです・・・。が、
ここに現在のストーブ側の未成熟なところがでてきます。(エネルギー効率のことなんです)
それは、発熱量を室内側へ有効に放出できずに煙突から大量に排熱してしまうことです。
また、最適な燃焼効率の為にはこの状態をキープする必要もあります。(市街地での使用も多くなり煙と臭いの回避のためにも)
温度だけを上げるのであれば、細く割った薪でスギやヒノキでもよく、ガンガン燃やせば充分に高くできますが、薪の使用量は大幅に増加するだけでなく、ストーブ本体が短期間に壊れることでしょう。
実用上は、焚き始め(最適温度まで)は、重松さんのコロ薪やスターター薪でスピーディに立ち上げて、燠った炭の上に適度に乾燥した大きい割りサイズの薪をのせて燃焼速度を人為的にコントロールして使われています。
こうしてみると、ストーブ側の性能に関わるところもあり、最上(それぞれに最適)の薪には幅が有りそうです。
ここで、2007年にヨーロッパで規格となった「蓄熱式薪ストーブ」にふれますが、なんとエネルギー効率が95%もあります。(5%しかロスしていない)
このストーブであれば話は変わり、最上薪は乾いていればいるほど良い薪であり、割りサイズも燃焼速度に適した太さが求められます。
あと、2年乾燥薪についてですが、雨ざらしをされると経験する水たまりに現れる赤茶色の汁があります。雨にさらした薪と相対的に比べて1割ほど重く仕上がっています。木酢液となる成分ですが、燃焼効率の良いストーブではこの成分も熱エネルギーとなっています。
わたしの乾燥も自然だよりなので屋根材は透明のポリカーボ波板を使って太陽光を取り入れています。
そして、自然乾燥では虫はお友達ですね。今年はカメムシが多く、出荷前のブラッシングや荷下ろし時に注意深く払いのけるのに手間取りました。
なお、1~2か月の雨ざらしは乾燥促進にはとても有効であり、乾燥期間を短縮する技術です。
長々となりましたが、山を活かす同志としてこれからもどうぞよろしくお願いいたします。
薪文化 片山
薪文化・片山さん、拙ブログにご訪問くださいましてありがとうございます。
また、このように詳細にコメント下さいまして、大変参考になります。
現在、薪の乾燥方法、乾燥の管理方法を模索していて、特に、乾燥管理については、重量で行おうと考えています。
雨晒ししない場合、10%重量が異なるのなら、そのことを考慮しないと、当然に乾燥管理もうまくいかないですね。経験の蓄積が必要に思います。
たしかに、クヌギを雨に打たせると、茶褐色の液体が流れ出てきますね。
また、ヒノキなど、昔は池に浮かべて保管していたのが思い出されます。
水に溶ける成分が残留するほうが、燃料としてだけの側面を見れば、よいのでしょうが、乾燥期間が短縮されるというメリット、それ以外に、雨ざらししたことによる変化がどのような影響として現れるのか、興味深く思います。
また、虫やカビの問題、これも、商品としての薪を考えると超えねばならぬ課題だと思っていますが、出荷直前に乾燥機にかけて、含水率を少しでも落として、熱殺菌できないかと考えていますが、そのために化石燃料を使っては意味が無いし、wood waste boilerを使うと、設備費が非常に高額になります。
色々と悩みは尽きません。
近々、関西方面に行く時に、おじゃまさせてください。
今後とも宜しくお願いいたします。
液性の燃焼成分と言うのは、樹液に含まれる水溶性の樹脂の事かなと思います。