電気抵抗式の含水率計の使い方

定期ネタです、これ。

facebook でもこの間見かけたんですが、薪屋さんでも、電気抵抗で計るタイプの含水率計の使い方を間違えっている例を見かけたので、くどいですが、一般論を書いておきます。

含水率計の種類に関しては、http://zmchip.com/2499suibunkei.pdf が詳しいです。

まず、電気抵抗で計るタイプの含水率計ですが、プローブと呼ばれる測定用の針を対象に刺し込み、電気抵抗で含水率を計測します。
気の利いたものだと、色々なパラメータで補正をしますが、安価なものは、そんな芸はありません。

電気抵抗で計るために、プローブの刺し込みが不十分ですと、針と測定対象の接触面が減り、当然に抵抗が大きくなります。ですから、針をきちんと刺さないと、甘い数字(乾燥しているような数字)が出るし、いくらでも細工ができるのです。

また、ちょっと考えればわかることですが、木口のようにとても乾きやすい部分を計ってもあまり意味がありません。
中心部分とでは、乾燥のスピードに差があるためです。

ですから、含水率を計りたいものがあれば、最も不利と思われる、地面近くや風通しの悪いところに保管していた薪を選び、それを半分に割り、写真のようにその割った面の繊維に沿ってプローブを深く差し込み計測する必要があります。

写真のものは、ファイヤーサイド さんが販売しているもので、MD812 の OEM と思われます。自分が、一番最初に買ったものです。

うちのお店では、MD814 という 4 ピンタイプを扱っています。

それと、含水率計が表示する数字についてです。

MD812 や MD814 が表示する数字は、乾量基準含水率、いわゆるドライベース、といわれる含水率になります。

詳しいことは、過去のエントリー をチェックしていただきたいのですが、要するに、水分を一切含まない薪そのものの重さで、薪が含んでいる水の重さを割ったもの、ということです。

例えば、今 1.2kg の薪があって、計ってみたら 20% だったとすると、薪の重さが 1kg, そしてその 20% で、0.2kg の水、都合 1.2kg ということです。

これに対して湿量基準(ウエットベース)の場合、1.2kg の 20% なので、0.24kg が水、ということになります。

ドライベースの場合、含水率が 100% を超えることがありますが、ウエットベースの場合、超えることは当然にありません。

ドライベース 薪そのものの重さ 含まれる水分 ウエットベース
0% 100 0 0%
5% 100 5 4.8%
10% 100 10 9%
15% 100 15 13%
20% 100 20 16.7%
25% 100 25 20%
30% 100 30 23%

それともう一つ、平衡含水率ということも知っておいて欲しいと思います。

空気中には水分があります。

たとえば、カラカラに乾いている買ってきたばかりの海苔ですが、これをその辺に放り出しておくとどうなりますか?
あっという間に湿気てしまいます。
空気中には水分があり、それを吸ってしまうからです。

薪も同じで、空気中の水分の影響を受け、これ以上乾きません、という含水率があります。
これを平衡含水率といい、日本では、屋外で概ね 15%, 室内で 12% 程度 とされています。
建材ですと、空調の関係で もう少し乾燥する ようです。

ですから、例えば、4% などという数字の写真を SNS などにアップして「超乾いている」みたいなことを言っている人がいたら、使い方を間違えている可能性が高いので、そっと使い方を教えてあげてください。

そもそも論として、電気抵抗式の場合、乾燥が進んでいるものの計測はかなり不正確で、取扱説明書にも、5% 以下は計れないと書いてあります。

まあ、測定限界以下なんだ、ということを示したいのかもしれませんが、仮に強制乾燥(熱処理)をしたものだとしても、海苔の例と同じで、空気中の水分を吸って 10% とかに戻ってしまう わけですから、そこまで乾燥させる意味はなく、単にエネルギーの無駄だと自分は思うんですけどね。

とまあ、うだうだ書きましたけど、電気抵抗式は、あまりあてにならないながらも、使い方のポイントとしては、

  1. 計りたい薪を半分に割るべし
  2. 割ったら割った中心に繊維に沿って深くプローブを刺すべし
  3. 念のために数カ所計るべし
  4. 燃やして数字の意味を確認するべし

といったステップで、数字そのものを鵜呑みにしないで、参考程度に留めることかなと思います。

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