2 ステージ型ポンプをモータで回す時の計算

薪割り機は、一般的に 2 ステージ型と呼ばれる油圧ポンプを使っています。

薪割り機専用のポンプなんですが、LO, HI の 2 つのステージがあり、通常は高い流量(そして圧力は低い)で動作し、力が足りなくなった時に高い圧力(そして流量は少ない)で動作するという特性があります。

2 ステージ型は、とてもシンプルな構造で、2 連のギアポンプです。
一つが高圧ポンプで、もう一つは低圧ポンプで、車のトランスミッション(ギア)のように変速しているわけではなく、どちらのポンプも常時駆動されています。

A 2-stage pump is just 2 pumps in one housing. Lets say we have a 11 gpm 2-stage pump. That means that the high volume side is pumping 8 gpm and the high pressure side is pumping 3 gpm. Now,when the splitters cylinder comes into contact with the block of wood. System pressure starts to build, When system pressure gets up to the pressure setting of the unloading valve. The unloading valve will open, the check valve will close. Pressure in the system will continue to build from the 3 gpm side of the pump. Meanwhile, the oil from the 8 gpm side of the pump flows though the unloading valve back to the supply “inlet” side of the pump

もっとわかりやすく言えば、二つのポンプが一つのハウジングに入っているだけ、そして、それらが協調して動作するようにチェックバルブなども組み込まれているという寸法です。

なぜこうなっているかというと、薪を割るという作業は、大部分はほとんど力が要らないからです。
原木にウエッジ(薪割り刃)、またはラム(プッシュプレート)を押し当てるためにシリンダを伸ばしますが、最初は空気を押している状態なので、ほとんど力は必要ありません。
もちろん、伸びたシリンダを縮める時もです。
なので、通常は、低い圧力でもいいので、圧油がたくさんあったほうが都合が良い、そのための LO 側のギアポンプです。

ところが節に当たったり、ねじれていたりで、力が足りない瞬間というのがたまにあるわけです。
その時にどうなるかというと、押しても割れないのですから、油圧回路の圧力がどんどん高まっていきます。
ある一定の圧力になると、LO 側のアンロードバルブ(保護回路)が機能し、低圧側の圧力は解放されます。
つまり、その圧油は低圧すぎて使えないので、単に捨てられて、タンクに戻ります。

HI 側のポンプは常に稼働しているので、そちらのポンプが続けて圧油を送り出し続けます。
そのままでは LO 側に逆流してしまい、LO 側のアンロードバルブの設定圧以上に圧力が上がりませんので、チェックバルブを組み込んであるわけです。チェックバルブというのは、一方通行にするバルブ, 逆止弁で、逆流を防ぎます。
仕事をするための流量は HI 側のポンプの能力になりますが、圧力は高くなるので、より強い力でシリンダを伸ばして、硬い木をバリッと割ってくれるわけです。

HI 側には保護機能がない(図中の赤点線の部分がない)としても、薪割り機のコントロールバルブに保護機能があり、そちらでアンロードされますから、ポンプは保護されています。

というわけで、えらく振りがなくてすみません。
なんでこんなことを長々と書いたのかというと。。。
計算方法を教えて、と言ったら、

Unfortunately we do not have a calculator or formula to determine what kind of horse power is needed for a 2 stage pump.

という回答だったからなんですよ。

11GPM のポンプの場合 5HP のガソリンエンジンと組み合わさっていることが多いです。
当然ですが、エンジンが大きくなれば余裕も生まれるんですが、コストがかさみます。

モータの場合も同じで、必要なサイズの選定というのはとても重要だと思うのです。

構造的には、上に書いたように、単なる 2 連のポンプなので、別々に計算をしてみたわけです。

ちょっと安い、$119 の 11GPM といことになっているポンプの場合、

SPECIFICATIONS

  • Displacement:
    0.2239 cu. in. / rev. HI press. stage
    0.7626 cu. in. / rev. LO press. stage
  • Pump Type Gear
  • Rotation CW
  • Orientation Horizontal or Vertical
  • Pressure: 3000 PSI max.
  • Speed: 3600 RPM max.
  • Flow:
    3.2 GPM HI press. stage
    11 GPM LO press. stage
  • Unloading Pressure 650 PSI
  • Mount 4 bolt USA 4F17
  • Shaft 1/2″ dia. x 1-1/2″ long keyed
  • Rqd. Filtration 25 micron
  • Inlet Port 1″ Hosebarb
  • Outlet Port 1/2″ NPT
  • Size 5″ x 5-1/8″ x 3-3/8″
  • Shpg. 10 lbs.

計算の前提というか、わからない点があるのですが、11 GPM という LO 側の流量というのは、HI 側のポンプ分を含むのか、ということです。
なので、LO 側は、HI 側のポンプ分を含むものと仮定します。(フォーラムでのやり取りからもその理解で正しいと思っています)
つまり、LO 側のポンプの能力は、0.7626 cu. in. / rev. ではなくて、0.7626 – 0.2239 = 0.5387 cu. in. / rev. と仮定しますよ、ということです。
厳密に計算するのは面倒くさいので、どんぶりで、それぞれ HI 3.2GPM, LO 7.8GPM で行きます。

ここまでだらだら書いて、結論を読んだらきれられそうですが。。。

システム圧力を 2,500PSI とした場合、HI 側のポンプを駆動するだけで、電動機で 5.2HP 必要なんですよ。
3,000PSI なら、6.2HP です。
低圧側は 650PSI で、7.8GPM なので、3.3HP, すなわち、全体としては、2,500PSI MAX だとして、8.5HP 必要となります。

普通のギアポンプ 2 つとして計算したら、です。

そして、こんな注釈があります。

Calculated for electric motors. Double this figure for gas engines.

これを真に受けると、17HP のエンジンが必要なんですけど、現実的には 5HP, というよりも 4.6HP のエンジンが搭載されているわけです。

実際に薪製造機などに載っているエンジンとモータとの対比などからしても、5HP = 3.7kW なら問題はほぼ無いだろうと思うし、下手すりゃ 2.2kW でもいけそうな気もしないでも無いんですが、モータがロックして焼けたりしたらシャレにならない わけで、高圧側がアンロードされる圧力で確実に回せるトルクがわからない以上、モータも保護をしておくしか無いかなと思うわけです。
その上で、保護が働かないところまで、コントローブバルブのリリーを下げるしかないかなと。

というわけで、素人の浅知恵ではここまでが限界なのでした。
なんとも。

そんな具合なので、嘘を書いてあるかもしれないし、計算も間違えているかもしれなので、お分かりになる方がいらっしゃいましたら、ツッコミを入れていただけるとありがたく思います。