昨日、薪割機の高速化の話を書きました。その中で端折ってしまいましたが、油圧ポンプについて、説明をしておこうと思います。
最近、薪割機を買う、というようなエントリーをよく見るのですが、大部分の人がほとんど知識がないまま買っていると思います。非常に高価なものなので、最適な製品をチョイスできるように、基本的なスペックシートなどの読み方を勉強しましょう。
独断と偏見に満ちた内容になっていますし、あくまでもずぶのド素人の戯言ですから、嘘・大げさ・紛らわしいがあれば、コメントでちゃんと躾けていただければ、ありがたく思います。
まず、油圧で動く薪割機ってのは、基本的な部品というのは 4 つかありません。エンジン(モータ)などの動力源、作動油を高圧にするための油圧ポンプ、作動油をコントロールするためのコントロールバルブ、そして、伸び縮みする油圧シリンダ、です。
この 4 つの部品の中で、特に薪割機に特化している機能を有するものが 2 つあり、一つが油圧ポンプ、そして、もう一つがコントロールバルブになります。バルブについても奥が深いので、また別のエントリーで紹介する予定でいます。
薪割機の場合、薪を割っている瞬間以外は、ほとんど力が必要のない作業をしているため、通常は圧力は低くても良いので流量が多いほうが望ましく、力がいるそのタイミングだけ、高圧(当然流量は減る)で動作すれば良いので、ツーステージ型ギアポンプという特殊なポンプを使います。
薪割機用のポンプを使うことで、エンジンやモータの力をより効率的に使うことができます。
ちょっとここで、Concentric/Haldex ツーステージ型のスペックシートを見てみましょう。
この製品は、Northern Tool + Equipment で販売されています。
- GPM: 16
- Shaft: 1/2in.
- Inlet: 1in.
- Outlet: 1/2in. NPT
- Dimensions: 7 1/4in. L with shaft, 5 5/8in. L without shaft, 3in. H across body, 3 3/8in. across mounting surface
- Minimum 8 HP or larger gas engine, direct drive only, horizontal shaft
- For use with open center hydraulic systems only
- First Stage: 16 GPM @ 650 PSI
- Second Stage: 3.5 GPM @ 2500 PSI
- Maximum pressure: 3000 PSI
- Bolt circle: 2.83in.
- 4 holes spaced 2in. on center
- Hole diameter: .344in.
- Woodruff key: 1/8in.
- Rotation: Clockwise
先ほど、さらりと流しましたが、GPM とか、PSI とか、HP とか、in. とか、馴染みのない(かも知れない)単位が出てきました。
薪割機に関しては、世界の中心はアメリカです。彼の国は迷惑なことに未だヤードポンド法なので、我々と違うものさしです。まあ、そのうち慣れるでしょうが、GPM とは gallons per minute、つまり、流量の単位、PSI は pound-force per square inch、HP は horse power で馬力、in. はインチです。
なお、こういう単位などの換算について、「薪に関する数字のあれこれ」というエントリーで触れていますので、参考にして下さい。
薪割機用のポンプに関して、流量は最も多いケース、「First Stage: 16 GPM @ 650 PSI」、つまり、低速側 650 PSI 時の 16 GPM を使います。対して、圧力は、「Second Stage: 3.5 GPM @ 2500 PSI」の 2500 PSI を使います。決して、2500 PSI で 16 GPM のフローがあるわけではありません。よって、ギア比は 1:4 であることがわかります。
最低馬力は、「Minimum 8 HP or larger gas engine, direct drive only, horizontal shaft」とあるとおり、8 馬力必要で、ダイレクトドライブ(エンジンなどへの直結駆動)、horizontal shaft=エンジンの PTO 軸が水平用、という意味です。
エンジンなどの詳細は、エンジンのエントリーで書きますので、ここでは割愛しておきますが、色いろあるんだよ、ってことです。
ツーステージ型を使う場合、ポンプの効率や運転圧力により、多少の変化はありますが、低圧時の流量(GPM)は馬力(HP)の 2 倍程度、ということを覚えておくと良いです。
よって、6HP なら 12GPM くらいのポンプ、また、電動機(モータ)の場合、家庭用の単相 100V なら自ずと上限は 1.5kW = 2HP ですから、 4GPM くらいが上限だということです。
電動薪割機を買おう、と本気で考えている人は、この 4GPM(高圧時 1GPM) というのが使い物になる数字であるかどうか、よく考える必要があります。6HP のエンジンに比べて、1/3 しか作動油を送り出せないのですから、電動機で同じ薪割り力を得ようとすれば 3 倍時間がかかるということになります。
流量から、薪割り時のサイクルタイムや薪割り力の計算方法は、エントリーを分けて説明したいと思います。
というわけで、今日はここまで。
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