薪割り機のメンテナンス — 作動油交換について

Facebook で質問している方がいたので、こちらにまとめを書いておこうと思います。

油圧で動く薪割り機ですが、力を伝えるために「作動油」というオイルを使っています。
車のエンジンオイルなんかもそうですが、種類、番手があります。
基本的には、作動油を使いますが、コマツなどエンジンオイルを使うこともあるので、交換の際には指定オイルと必要量を確認する必要があります。
作動油には、#32 と #48 とがあり、#32 を使うものの方が多い印象です。

うちは基本的に 20L 入りのペール缶か、200L 入りのドラム缶を使っていて、値段は結構変動するんですが、20L で 5,000 — 6,000 円くらい(税・送料込)といったところです。
今は、5,999 円 です。

ホームセンター等で売っているのは正直見たことがありません。
MonotaRO では売っているようで、4L で 1,749 円20L で 7,469 円 のようです。

うちで扱っている Brave 社の薪割り機の場合、コンシューマ向けの 20t の往復タイプで約 12L 程度、24t 以上のプロシューマー(セミプロ)向けの 24t 以上の縦横兼用タイプで 36L 程度、指定は #32 となっています。

作動油の交換のタイミングですが、あくまでも個人的な考えですが、時間で管理するのは薪割り機の場合は難しいと思います。
なので、実際にオイルの色や臭いで、劣化具合を判断して、早め早めに交換する方が良いと思うのです。

オイルの劣化具合の判断ですが、一番わかりやすいのは色を見ることです。

オイルの色相による劣化の判定<ASTMカラーによる簡易比色法>
オイルは劣化に伴い赤っぽく色が変わります。オイルの色相による劣化判定は新油の色相(ASTM番号)に対し2.5以上濃くなった場合がおおよその酸化劣化限界となります。

さて、オイルが劣化していると認めて、オイルの交換時期であると判断した、その次です。
オイルを抜き取る作業が必要です。

いまだかつて薪割り機では見たことがありませんが、作動油タンクが加圧されているものが存在ます。
その場合、圧力を抜く作業が必要になります。

ドレンといってオイルを抜くための栓(プラグ)がある場合とない場合があります。

ある場合、マグネティックドレンといって、栓が磁石になっていることがあります。
この場合、ドレンプラグに鉄粉等が付着してないか確認し、付着している場合、基本的に鉄粉が出るのは油圧ポンプが主原因なので、ポンプ周りの確認が必要です。

ない場合は、フィラーキャップから抜き取ります。

次のオイルのフィルタ類の点検、そして必要に応じて清掃や交換を行います。

フィルタですが、まず、フィラーキャップですが、作動油タンクが加圧されない場合、シリンダが伸びる際、タンクから伸びたロッドの分だけ作動油が減り油面が下がりますから、その分外部から空気を取り込み、その空気をフィルタする機能を有している場合があります。
なかにはフィルタ機能のないものもありますので、キャップの周りは常日頃から木屑や埃等が付着しないように気をつける必要がありますし、絶対に水がかからないようにしなければなりません。
キャップの裏側など、吸気部分に汚れがないか、確かめてください。

次に吸入側ですが、大部分はストレーナーという金属の目の細かい網で濾す仕組みになっています。
もし、ドレンプラグ等に鉄粉等の異物を認めた場合や、フィルタに大量のゴミが付着していた場合など、清掃の必要があるかもしれません。

さらに一部の薪割り機では外付けのフィルタがあることがあります。
フィルタには 2 種類あり、吸入(サクション)フィルタと、リターンフィルタで、見た感じの形は同じですが、別の品物になるので、交換用のフィルタを購入する際に間違えないように気をつけてください。
うちで扱っている薪割り機、また、オプションとして販売しているフィルタヘッドはリターン用のみです。
理由は単純で、フィルタの能力が高く、価格が安いからです。
一つ注意してほしいことは、リターンフィルタにはバイパス機能といって、フィルタが目詰まりしても、作動油を迂回させ、機械が停止しない仕組みがあることです。
普通に使えている=きちんと濾過されていて問題ない、ではありません。
古くなるとフィルタを油が通過できななると、圧力が上昇しますから、その圧でバイパス回路が開き、迂回するだけです。
無論、圧力を計測することで目詰まり状態を把握することもできなくはないんですが、定期的に交換する方が良いと思います。

新しいフィルタをフィルタヘッドに取り付ける場合ですが、あまりに交換していない場合、ゴムのパッキンが固着していることがあります。パッキンが残っていないか確認して、必要に応じて清掃してください。
新しいフィルタのパッキンには必ずオイルを塗布してください。(グリス等、作動油以外を使ってはいけません)
これを怠ると、漏れの原因になります。
締め付けは、パッキンがヘッドに触れるまで行い、そこからさらに 1/2 回転程度締め付けます。
これで漏れません。

オイルを抜き、フィルタ類の点検整備が終わったら、新しいオイルを充填しましょう。
この時注意することは、一度に入れようとしないことです。

タンクに入るのはタンクの容量までです。
作動油を抜くと、回路(ホースやバルブ、シリンダ内部)にあったオイルが抜けます。
タンク容量+回路の容量=規定量、ですから、全部入らないのは当然なのです。

また、タンクに目一杯入れるのも良くありません。
エンジンを始動して作動油を送ると、空気が入っていた部分にオイルが充たされますが、この際、空気が細かな気泡となり泡立ちます。
シリンダは伸長に伴い必要とする容量が変化します。
オイルを補充する際には、シリンダを縮めた状態で行います。
伸ばした状態だと、縮める際にタンク油面が上昇し、気泡と相まってオイルが吹き出すことがあります。

動画のように、空気を噛んだ状態ですと、ガタガタと動きます。
この状態になった場合、シリンダを伸ばす操作は行わないで、直ちに縮めてください。
作動油が不足しています。

泡立っているので、少し待ってからレベルゲージの MIN 程度まで補充をしてください。
そして、エンジンを再始動して、シリンダを伸ばす操作を行い、ガタガタしないか確認してください。
ガタガタするなら、再度補充します。
ガタガタしなくなったら、回路の空気が抜けましたので、レベルゲージの MIN と MAX の間になるようにさらにオイルを補充してください。
空気は抜けきっていないので、MIN の位置にしか補充しないなら、次回使用前に MIN を切っていないか、確認してください。
MAX まで入れときゃいいんじゃないか、という考えもあろうかと思いますが、薪割り機の作動油タンクは密閉構造ではなく、移動時に本体が傾いたりします。その際に、漏れ出すリスクが多少上がるので、目一杯入れるも良し悪しなのです。
作動油は基本的に使っていて勝手に減った入りするものではないので、余分目に入れる必要はありません。
ただし、量が多い方が、使用時の油温の上昇が多少なりとも遅くなる、というメリットはあります。

なお、補充時に限らず、エンジンを停止し収納する際には、シリンダは必ず縮めてください。
シリンダのロッド自体、伸ばしていると物理的にものが当たったりして痛むリスクがあります。

各ホース類の傷や劣化具合、継手金物やタンク自体からのオイル漏れがないか、点検してください。
一度、薪割り機を車のワックスシート等を使い磨き、地面にダンボール等を敷いて、滲みや垂れて後になっていないか確認すると良いでしょう。
ワックスシートで磨くと埃等が付着しづらいので、おすすめですよ。

以上が作動油交換(初回充填)の際の手順となります。

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