続 3・無人販売装置 — 扉の構造と KREG のジグ

まあ、完成するまでは当面この件を引っ張りそうですが、無人販売装置の続きです。
それで、今回は扉の構造について考えてみました。

薪という商品の性質上、野菜のようなトラブルは起きづらいのかなと思うところですが、ただ、エコエコ棟梁 の販売所では 焚き付けが盗まれたりと、やはり一定数はヤカラもやってくる ようなので、対策もまた必要かなと思うところなのです。

まあ、ヤカラの対策は、神社で賽銭箱を荒らされ続けてこのかたウン年の経験がありますが、重要なことは、

  • 装置自体を盗まれないようにする
  • 装置自体を壊されないようにする

に尽きます。

無人販売装置を盗むことはまず考えられませんが、壊されることは容易に想定できます。
愉快犯で意味なく壊したい、重松が気に入らんから壊したい、というのは防げませんが、そうでないなら、装置を壊す目的は大きく二つあって、一つは商品を盗みたい、そしてもう一つは売上金を盗みたい、ということです。

それで、薪ってのは非常に原価率が高くて、うちの場合はですが、原木が 1t 10,000 円(税別)かかっているので、歩留まり 50%(乾燥で 30% 水分が抜け、30% ロスが出るとすると 0.7 x 0.7 = 49%)とすると、材料費だけで 20 円/kg(税別)かかるのです。原木を土場まで運送屋さんに運搬を依頼すると、1t 4,000 円かかるので、28 円/kg(税別)です。
割って、乾燥させるのに 10 円/kg(税別)かかりますので、ここまでで 38 円(税別)です。
これを結束して、無人販売所に運び込んで、販売用の箱に詰めて、ブログ村で気になっている無人販売、薪の駅 さんと同じで、一束 8kg を 500 円(税込)だと、単価的には、62.5 円/kg(税込)なので、無人販売のコストを無視しても、67% 原価がかかっています。
実際には、乾燥の際のチップコストや、薪の生産に使っている設備などのコストは計上していないし、無人販売のためのコストも計上していませんので、まあ、そういうことです。

つまり、商品の単価も利益も極めて低く、売り上げることよりも、一番高額な装置を盗まれたり壊されたりしないことが極めて重要になるわけです。

これは、賽銭と同じで、賽銭を盗まれないようにすると賽銭箱が壊されたり、賽銭箱ごと盗まれたりするのです。
賽銭箱の方が中身の 100 倍とか、1,000 倍の価値があるのですから、賽銭を守るのは、合理性だけ考えると、間違いということになります。

薪の無人販売は、利益目的ではなく、「薪」というものを身近に用意しておくことで、焚き火などを入り口として、ロッジのクッキングウェアや、薪ストーブ、薪ストーブ用品の販売につなげていきたいと考えています。
なので、儲ける必要は全くないので、とにかく被害を受けないようにしたいのです。

えらく脱線しましたが、本題に戻ってドアの構造です。

ドアに求められる要件は、子供はいたずらできないけど、大人が壊そうと思ったら簡単に壊せて、修理にコストがかからないことです。
頑丈な鍵をかけたところで、ドリルや鋸を持ってきて壊す人に対処するのは、コスト的に見合いません。
まあ、500 円の薪をそこまでして盗む人はいないとは思うのですが。
なので、凝ったドアは NG です。

それで実はこんな道具を買ってあったんですね。

まあ、見ての通りですが、キャビネットを作るためのジグです。

これを使ってドアを作れば、汎用のヒンジを使えるので、ドアがちゃんと開いて、ちゃんと閉まるわけですよ。
あとは、中が見えるように透明のポリカーボネート板を嵌め込めば、そこそこ頑丈にできあがるわけです。
楽チン。

鍵の仕組みですが、ドアの側にはソレノイドをつけたくないのです。
理由は単純で、ドアのように動く部分に配線をしたくないのと、ドアを壊された時に一緒にソレノイドが壊れたら嫌だからです。

そう考えると、YouTube の動画で使われていたソレノイドは、ドアの側はキャッチを取り付けるだけで、本体は販売ケース側になるので楽で良いかなと思います。

ドアの強度の調整は、キャッチ部分を簡単に壊れるようにすることで実現できます。
たとえば、柔らかい樹脂で作っておくことで、強く引くとちぎれるようにするわけです。
あとはドアの開閉センサーをつけておき、解錠状態にない時にドアが開くと警報音が鳴る仕組みである程度の抑止にはなるかなと思います。

そして、一番の肝なんですが、売上金を盗まれないようにする、という部分です。

これについては、薪の駅 さんでは PayPay に対応していて、ただうちの場合は、薪の駅 さんのように無人販売は許可がおりませんでしたから PayPay は使えないのですが、ネットで支払ってもらう等して、現金以外での決済を利用することで、そもそもそこに現金がないようにすれば良いのではと思います。

今考えているのは、販売所が 1 箇所、または使える販売所を限定し、引き換え用の QR コードを発行する方法です。

販売所に QR コードリーダーを設置しておき、QR コードを読み込ませます。
QR コードにはシリアル番号が入っていて、販売装置は未使用のシリアルであれば、500 円を投入した時と同じ動作を行う、それだけです。
QR コードのシリアル番号は非対称暗号を使い、秘密鍵で暗号化しておきます。
販売装置側は公開鍵で復号することで、シリアル番号の発行者を確認します。

販売所が複数あり、かつ、どの販売所か限定しない場合、シリアル番号の使用履歴を共有する必要が出てきます。
これは、販売装置側でやるのか、お客さんのスマホでサーバーにアクセスしてもらってその場で認証するのか、ただいずれかの方法でネットワークに接続する必要が出てくるでしょうね。

まあ、そんなことは、ある程度売れるようになってから考えることであって、当面は棚上げでいいと思います。

それと、こっちが本題の気もしますが、回路図です。
O さんが送ってくださいました。
公開 OK ということなので貼っておきます。
O さん、ありがとうございます。

リレー、その端子台あたり、回路図と現物の乖離が激しそうなので、一旦整理した方がよさそうです。

また、リミットスイッチなども、はんだ付けするのではなくて、配線の先に金属のメスの端子的なものをかしめて、リミットスイッチのオスの端子的な部分に噛み合わせているのを見かけたんですが、車の電装品なんかで使うものと同じ平型の端子でいけるのか、ちょっと気になります。
12V だから、車の電気作業的なノリでいいんじゃないのかとは思うんですが。

リレーや端子台が届いたら、よくよく観察してみようと思います。