不誠実な表示がまかり通る薪ストーブ界隈

少し前に Facebook で話題になったんですが、いつも不快に思っていることなので、言いたいことをぶちまけておいたんですけど、薪ストーブ界隈って、どうして不誠実な表示をするところが多いんでしょうかね。

業界の第一人者として尊敬している Paul さんのファイヤーサイドさんですら、「税別」表示を行っています。
この点は尊敬できるような所作ではないです。

どうして税別で表示をするんでしょうか?
自分が考えられる理由はただ一つ、税込み表示よりも安い金額を表示でき、価格を安く誤認識させることができる からだと思っています。
自分の性根がひねくれているからそう感じるのでしょうか?

店頭に数千とか、数万とか、商品が陳列してある小売店のために、例外 として、税率が変わる予定があるから値札の付け替えの手間を軽減するために税別表示が認められていたわけです。

消費税反対とか、そういう政治的なスタンスはさておき、そもそも法の主旨というのは、総額がわかりやすい表示を行う=価格を正しく伝える、そういうことですよね。
にもかかわらず、税別表示を行う薪ストーブ界隈。
通販ですら税別表示だったりするわけで、通販なんて、個別に値札をつけるわけでもないし、頻繁に価格を見直す作業を行うわけで、税別表示を行う正当性は 1mm たりとも自分の感覚では感じません。

愛媛だと、ガソリンスタンドで税別表示をする店舗があって、昔は税別とすら表示してなくて、入れてから消費税を請求されて、ものすごく高ついた経験があるんですが、ここまでくると罠みたいなもんです。
しかし、周りのブランドのスタンドよりも、価格も高く、サービスも悪いのに潰れていない。
このような手口で何年もつぶれないということは、こんな古典的なやり口で騙される人が相当存在する証左でしょう。

同じような不誠実な表示として、原産国の表示があります。
原産国表示の問題としては、次のようなパターンがあるかなと思います。

まずは、原産国の表示が義務付けられているか、表示せざるを得ない場合に、表示を分かりにくくしてごまかすパターンです。
たとえば、MADE IN CHINA, MADE IN KOREA と書かずに、MADE IN PRC とか、MADE IN ROK と表示するわけです。
ウソではないんですけど、その出自が恥ずかしいとか、知られたくないという自覚があるんでしょう。

あとは、原産国ロンダリング。
前にも書いたんですが、たとえば、椎茸の場合 発生した場所 が原産地となります。
チャイニーズが支那の木を切ってそれに植菌して、発生間際になったら日本に輸出(日本から見れば輸入)して、それをチャイニーズが収穫、日本の材料は何も使わず、発生した場所が日本国内だから、チャイニーズな国産原木椎茸の一丁上がりです。
ただ、これは、一切違法性はないんですけどね。

後の典型的なパターンは、言わないという手口。
商品のベースはおそらく MADE IN CHINA の OEM 品。
それの中核部品の一部を有名メーカー品に変えると、あら不思議、その有名メーカー名だったり日本製なら原産国を大きく表示するのに、商品の大部分の原産国は表示しないわけですよ。
表示しない=恥ずかしくて言えない、あるいは言うと売れない、そういう認識があるということでしょうか?

たとえば、支那製造であっても、品質管理に自信があったり、チャイニーズであるということに誇りがあれば、誤魔化したりせず、堂々と表示をすると思うんですよ。実際、そういう会社もたくさんあって、うちで使っている折り機のシルバー精工なんかは、チャイナ工場の写真をアップしたり、積極的にアピールしてました。潰れましたけど。

それで、Brave(ブレイブ)の薪割り機のことなんですが、一言で言うと、PROUDLY MADE IN USA なんですよ。
彼らが勝手に誇っているだけといわれたらそれまでなんですけどね。
表示を合法にするとか、そういう低次元の話ではないのです。
扱い始めるにあたって、原産国等について尋ねたら、使っている鉄まで米国製で彼らのミネソタの工場で作っているという返答でした。
まあ、そうはいっても結構アバウトなんで、ロットによって使っている部品が違ったり、一度だけですが、ポンプの組み付け不良があったり、そういう粗さは米国製だなと思うところですが、見えない部分、例えばジョーカップリングもラブジョイ製(ロットによる)だったりして、良いものを使っていることは間違いがないんですよ。
良いものを作ろう、米国人として、米国製と誇れる材料を使い、誇れる仕事をしよう、という部分が製品から感じられるというか、なんというか。お前が勝手に思い込んでるんだろと言われれば、これまたそれだけのことですが。
ただ、油圧継ぎ手、ホース類の金具ですが、これは MADE IN CHINA だったりするので、100% MADE IN USA なのか、というとそれは違いますし。
米国製と表示できるように作るのではない、米国製だと胸を張ってお客さんに言える、そういう商品を作るということです。

それと比べて、都合が悪いことは言う必要がないとか犯罪者の黙秘権じゃあるまいし。

うちはセレクトショップなので、自分が使う気がしないようなものは売りませんし、人に言えないような恥ずかしいものは扱うこと自体が恥ずかしい。

売った薪割り機の不具合をネジの 1 本が足らなかったレベルからこのブログでぶちまけるもんだから、購入を検討しているという方から不安になりますと言われたんです。
よその薪割り機屋さん、うちよりももっと壊れていると思うんです。
だって分母が大きいんだから。
でも、メーカーが、ここがこう壊れました、こういう不良がありました、なんて報告していますか?
そういう不具合情報を黙っていて、誰が得をするんでしょうか。
事故などの知見は、公開して使用者が同じ事故をおこなさいように、経験せずとも学習できるのが人間です。
空飛ぶタイヤじゃないけど、うちに報告が上がっているのは氷山の一角かもしれない、同じ不具合がお客さんのところで発生していて気付いていないだけかもしれない、そして、それが大きな事故や怪我につながることになるかもしれない。

機械なんだから、不具合は必ず出るはずです。
確率の問題はあると思うんですが。
そして、トヨタの車は不具合が非常に少ないけど、マツダやスバルになると格段に不具合率が上がる、これはメーカーが商品を流通させるまでに不具合をどこまでつぶせているかにかかっているわけですが、うちの場合事前に不具合を出し切るなんてことはできる規模ではないし、市場の規模からしても、ほとんどの薪割り機は、自動車の品質管理から見れば、不具合の塊見たいなレベルだと思うんです。

性分だと思うんですが、不具合を隠して売るようなことはできないし、したくもないし、そういうマイナスの面もしっかりと認識した上で、覚悟を持って判断してもらいと思うんです。
そのためには、少しでも判断できる材料を正確に伝える必要がある。
だから、価格というような重要なファクターを正確に伝えようと努力しない税別表示、主要部品の原産国を明示しないような態度に不快感を禁じ得なんですよね。

とはいえ、うちがちゃんと表示をしっかりできているのかというと、まったくそうではありません。
例えば、パッケージは本国のままなので、日本語表示がないのが普通ですし。
そういう部分をどんどん改善していかなとと思うところです。

いや、なんでまた怒り心頭なのかというと、

という記事を見たからなんですけどね。

結局のところ、そういう業界全体のダメなところってのは、一番低い部分にトップを走る企業も引き摺り下ろされる、ということです。桶を作るときに、1 枚、背の低い側板があれば、水はそこまでしか入らないのと同じことです。

ようやくというか、義務化されれば自ずとそういう業者は しっぺ返し を喰らうだけですね。
今まで税別価格で価格を低く 誤認 させていたわけですから、税込み表示後に、単純に値札を書き換えたら、他所よりも割高なお店であると化けの皮が剥がれてしまうわけです。

ルールで禁止されていないことは何をしてもいい、そういう考えの人たちもいるでしょう。
ただ、幸いに自分はそういう生き方をしないと生きていけないというような状態ではないし、そういう自分が美しくないと思うような生き方をしたくないので、まあ、今まで通り拗らせて生きていこうと思います。
でも、拗らせすぎて、お店は潰さないようにしたいとは思います。