今日は兼務神社の春祭り, 祈年祭(きねんさい)でした。
祈年祭というのは、年を祈ると書いていますが、年とは米のことで、秋の豊作の祈願のお祭りです。
こちらは恙なく、無事に執り収めることができました。
さて、表題の通りなんですが、Facebook で微妙な含水計を使ったレポートが投稿されていたので、定期ネタにはなりますが、含水率の使い方について、説明をしておきたいと思いますが、その前に、含水率自体についてです。
含水率というのは、薪などが平たくいうとどれくらいの水分を含んでいるか数値で表したもの、ということになるんですが、ややこしいことにドライベース(乾量基準, DB)、ウエットベース(湿量基準, WB)という二つの表し方があります。
まずは、ドライベースとウエットベースの違いについて説明ます。
ドライベースというのは、薪そのものの重さを 100 とした時に、どれだけの水が含まれているのか、その割合となります。
今、薪があって、薪そのものの重さが 100g, 含まれている水が 20g、都合 120g だった場合、含水率が 20% となります。
これに対してウエットベースは、全体の重さが 100g の時、水が 20g、都合薪そのものの重さが 80g だった場合、含水率が 20% となります。
表にすると以下のようにウエットベースの方が小さな値となり、ドライベースが 100 を超えることがある反面、ウエットベースは 100 を超えることはあり得ません。
ドライベース | 薪そのものの重さ | 含まれる水分 | ウエットベース |
---|---|---|---|
0% | 100 | 0 | 0% |
5% | 100 | 5 | 4.8% |
10% | 100 | 10 | 9% |
15% | 100 | 15 | 13% |
20% | 100 | 20 | 16.7% |
25% | 100 | 25 | 20% |
30% | 100 | 30 | 23% |
つまり、含水率がいくつ、というような話をする場合、ドライベースで話しているのか、ウエットベースで話しているのか、まずはそこをはっきりとさせる必要があります。
自分は、いつもドライベースで話をしています。ちなみにですが、過去うちのお店で販売していた MD812, MD814, DM1100 については、すべてドライベースです。
MD812 の OEM であろうと思われるファイヤーサイドさんの含水率計も、ドライベースです。
林業関係はドライベースが主に使われていると思いますが、チップ業界だとウエットベースなので、注意が必要です。
というわけで、以降、ドライベースで話を進めます。
次に知っておいてほしいことに、平衡含水率、というものがあります。
空気自体に水分が含まれるため、薪を乾かそうとしても、ある一定の含水率になるとそれ以上乾かなくなります。
環境の湿度と平衡状態なるためです。
これを平衡含水率といって、日本では、屋外で概ね 15%, 室内で 12% 程度 といわれています。
仮に一時的にこれ以上乾いている状態なったとしても、水分を吸ってしまうのです。
なので、含水率を測って 10% くらいだったり、割ったばかりのものが 20% くらいだったりした場合、正しく測れていない可能性が極めて高いです。
以下に MD812 など、プローブと呼ばれる針を差し込み、電気抵抗で含水率を測る場合、より正確に測定する方法について手順を記載しておきますので、参考になさってください。
- 対象物を半分に割ってください。中央を測定するためです。
- プローブは木口(切断面)ではなく、半分に割った部分の中央付近に強く深く差し込みます。
- クヌギ・ナラ等は乾燥するとかなり硬くなります。プローブ自体、強度がなく、本体も樹脂製のため、深く差し込むことが困難な場合、プローブの間隔で釘・コーススレッド等を打ち込み、それにプローブを当ててください。無理に強く差し込むと、プローブが曲がってしまったり、本体の破損の原因となります。
今までの経験からいうと、含水率が 20% を切ると問題なく燃やすことができますが、17% くらいまで乾燥すると非常に良い仕上がりといえると思います。
乾燥については、ここでは詳しくは触れませんが、20% を切った後さらに乾燥させるには条件を整えても、人工的な環境に置かない限り、かなりの時間がかかりますし、薪は長くおけば良いというものでもない(虫が食ったり、多少なりとも雨が当たってカビ・腐り等の原因になります)ので、割ってから 3 年程度で使えるサイクルが良いのではと思います。