配達用にチェーンスリングを買いました

もうすっかり春ですね。
庭に植えてあるスモモの花が咲きました。
こっちはソルダム。
奥には大石早生が植えてあるんですが、ソルダムしか成りません。
今年は大石早生の方は収穫できるんでしょうか。
今から収穫が楽しみです。

今日は特に何かしないという予定がなかったので、昼からのんびり、今度の焼き鳥会の買い出しに出かけました。
ついでにワイヤーブラシが行方不明だったので買って帰って、午後は溶接の練習をしました。
先達はあらまほしきことなりではあるんですが、そういえば、午前中 M さんから電話があったので、色々と話を聞いたんですけど、やっぱりノズルやチップは、スパッタ付着防止剤があった方がいいようでしたので、スパブロックP-564 をポチしておきました。

それともう今シーズンもほぼほぼ終了しかけているわけですが、今更ながら注文したチェンスリングが届いたので使ってみました。
微妙に長いような、でもまあ、こんなものかなと思います。
つくりはそれなりにしっかりとしているように見えます。
耐久性などは、使ってみないことには分かりませんが。

品物自体はヤフオクで 4,800 円、送料がなんと 2,000 円も取られました。
大阪から愛媛で、箱のサイズは 60 未満、重さは 9kg でしたから、容積重量でも 80 サイズだと思うんですけどね。
ゆうパックなら 500 円程度の送料です。(うちの契約の場合)
ヤフオクのルール的には、実費以上は請求できないことになっているので、揉めたら返してはもらえるんでしょうけど、もともと 2,000 円と明記されていたので、騙され感はありますが、総額で考えると安いので仕方ないかなというところですね。
クーポンで 500 円割引がありました。

夕方 Facebook をみていると薪割り機の相談がありました。
そこに書いた内容と重複しますが、春になって、薪づくりを始める人が少なくないと思うし、薪割り機の購入を検討し始める方も出てくると思いますので、こちらでも書いておきます。
詳細は別エントリーでまとめた方がいいのかなと思いますが。
油圧式、エンジンを動力とするものを前提として記載します。

まず、油圧式の場合、15 トンか、サイクルタイム X 秒とか、ホンダ 5.5 馬力エンジン搭載、というような商品説明があるかと思いますが、サイクルタイムはさておき、トン数とか、馬力数とかは初めてだとピンとこないと思うので、簡単に表にまとめてみました。
エンジンは、ホンダエンジンを前提としています。

クラス エンジン 排気量 馬力 ポンプ
エントリー(小型) GC160, GX160 160cc 5 HP 程度 11GPM
中級 GC190, GX200 200cc 前後 6 HP 程度 13GPM
上級 GX270 270cc 8 HP 程度 16GPM

米国製薪割り機の一般的な組み合わせの例です。
大体 1HP(HP = 馬力) あたり 2GPM 程度の流量となります。
GPM というのは Gallons Per Minutes のことで、1 分あたり何ガロンの圧油を生み出せるか、という数字なります。
薪割り機のポンプはツーステージポンプでないといけない という考えを持っているため、ツーステージポンプを前提とした数字になります。

いきなりツーステージといわれても、訳がわからないよ、ってごもっともです。

この辺りでも触れているのですが、端的にいうと、薪割りの状況に合わせて、供給する圧油の圧力と流量を変化させて、作業を効率化できるポンプ、ということです。

薪割り機による薪割りを想像してもらいたいのですが、圧油で油圧シリンダーを伸ばし、その力で薪割りをしますね。
刃物(ウエッジ)が動くタイプ、押し棒(ラム)が動くタイプ、いろいろあるんですが、原理としては、油圧シリンダを伸縮させて薪割りをすることになります。
たとえば、ラムが動く場合、割ろうとする薪に当たるまでは、ラムを動かせるだけの力があればいいことになりますよね?
空気を押しているだけですから。
つまりほとんど力は要りません。

圧油というものは、電気と同じで、圧力と流量の積が仕事量になります。
つまり、その力の源のエンジンが同じであれば、圧力を高くすると流量が減り、流量を増やすと圧力が減るのです。
これが原理原則です。

強い力の薪割り機というのは、エンジンを大きくする必要など微塵もなくて、10t ではなくて 100t の馬鹿げた薪割り機をエントリークラス用の GC160 で作ることだってできるのですが、100t の薪割り機は 10t のものに比べて単純に考えると 10 倍の作業に時間がかかってしまう、ということになります。
それで、上の表のような、一定の組み合わせが生まれました。

その上で、力が必要のない時は圧力を下げて流量を増やせる、薪割りというアプリケーションに特化したツーステージポンプというものが生まれました。
負荷が軽いときには、4 倍早く動き、薪を割る瞬間は速度が 1/4 になる代わりに 4 倍の力を出すことができる、そういうポンプです。

仕掛けってのは極めて単純で、2 つの性能のポンプが一つに組み合わされただけのものです。
低圧用のギアポンプと高圧用のギアポンプがあり、普段は両方のポンプが作動しています。
負荷がかかると、高圧用のポンプのみが作動する、種を明かすシンプルです。

これが油圧ポンプです。
黒い部分から伸びている軸はエンジンに直結されて、アルミの部分に組み込まれているギアでポンプを組む仕組みです。
アルミ部分が二階建てになっているでしょう?
そして、片方(黒い部分に近い方、こちらを 1 階とします)にはホースをつなぐ用のニップルがあると思いますが、そこから油を吸います。
ですが、その反対側の口はボルトで塞がれています。
代わりに 2 回部分に蓋のされてない口が空いていると思いますが、そこから 1, 2 階の油がまとめて出てくる仕組みです。

2 連ポンプってのもあるんですが、それは、二つ組み合わされているものの、吸入口も吐出口も、それぞれにあります。

まあ、理屈はわからなくてもいいんですが、とにかく、ツーステージポンプが搭載されていないなら、非常に作業効率の薪割り機になり、時間も燃料もものすごく無駄にする、ということです。
油圧式の薪割り機で絶対に押さえておかなければならいポイントです。

ユンボやフォークリフト、トラクタ等の油圧機械があり、そこから圧油を取り出して薪割りをすることもできます。
この場合、作動油等の管理が不要になるメリットがありますが、求められているポンプの特性が全く異なる ため、非常にエネルギーに無駄が生じています。
たくさん薪を作る場合、ランニングコストで問題が生じるケースがあり、注意が必要です。

次に油圧シリンダについてです。

この辺りにゴソゴソ書いていますが、まあ、圧油で伸び縮みする棒状の装置、です。
シリンダには、大きく分けると単動と複動があります。
まあ、読んで字の通りで、単動は一つの動き、複動は二つの動きができるもののことですが、単動は基本的に伸びることしかできない(あるいは縮むことしかできない)ものとなります。
伸びるばっかりで、縮められないと使い物にならないだろうと思われるかもしれませんが、伸び縮みはできるんですが、圧油でということです。

たとえば、ダルマジャッキは典型的な単動でして、圧油で伸びることはできます。
でも、縮むことはできませんので、持ち上げている荷物の重さ、要するに重量ですが、外部からの力により縮む動作を行うわけです。
ダルマジャッキと同じ構造の手動の薪割り機の場合、横向きにシリンダが設置されているので、重力で縮めることができないため、バネの力を利用します。

構造的にはこうなっています。

そうそう、手動薪割り機の動画にレバーが二つありますよね。
最初、手前側のレバーをコキコキしていて、薪が刃物に当たったら、奥側のレバーをコキコキしているのが見て取れると思います。
これがツーステージポンプの仕組みでして、手前は低圧で流量が多いポンプで速く動けますが、割るときには力が足りないので、奥の高圧で流量が少ないポンプを使うわけです。
もし、ツーステージでないなら、奥のゆっくりとしか動かないレバーだけを使う必要があるということです。

続いてエンジン式の薪割り機で通常用いられている複動シリンダについてです。
構造ですが、上図のように、シリンダの両側に作動油の出入口があり、コントロールバルブによって圧油の流れる方向を変えて伸縮させることができます。

シリンダを伸ばす時(あるいは縮める時)は、コントロールバルブにより、右(縮めるときは左)の部屋に油を送ります。
シリンダチューブの内径・ピストンの直径のことをボアといいます。
また、伸縮できる量のことをストロークといいます。

注目して欲しいのですが、右の部屋は、送り込まれた油の圧力を受ける面積は、シリンダチューブの内側の面積=ピストンの面積となります。この面積が大きくなると、より大きな力を受けることになりますので、力の強いシリンダ、ということになります。

つまり。。。

面積 x 圧力 = 力(トン数)

という計算が成り立つわけです。
これこそが、油圧機械の根幹をなす理屈=パスカルの原理なので、まずは、シリンダが太い=力が強い、ということを覚えておいてください。
と同時に、トン数というのは、エンジンの出力とは全く無関係 だということです。
パルカルの原理、これこそが先に書いた 5HP のエンジンでも 100 トンの薪割り機が作れる原理になります。

あと、シリンダにはロッド、伸び縮みする棒がついています。
伸びるときに対して、縮む時は、この棒の断面積分、力が弱くなります。
力が弱くなる=早く動く、ということでもあります。

以下に一般的なシリンダとポンプを組み合わせた場合、どれくらいの力が出て、どれくらいの速さで動くのかまとめておきます。
運転圧力は 3,000 PSI とします。PSI = Pounds Per square Inch、1 平方インチあたり、何ポンドかという米国式の圧力単位です。日本で言うと 20.7Mpa です。
エントリーモデルで一般的な 11GPM のポンプを使った場合のサイクルタイムも記載しておきます。
また「”」はインチを表す記号です。1″ = 1 インチ = 2.54cm です。

シリンダ仕様 押す力 引く力 24″ ストローク時(伸 + 縮 = サイクル)
ボア 4″, シャフト径 2″ 37699 lbs.
(18.9 US ton)
28274 lbs.
(14.1 US ton)
7.1 + 5.3 = 12.4
ボア 3.5″, シャフト径 2″ 28863 lbs.
(14.4 US ton)
19439 lbs.
(9.7 US ton)
5.5 + 3.7 = 9.2

※ 1 US ton(short ton(s), 米トン) = 2,000 lbs. = 0.89 ton(long ton(s), 英トン)= 893kgf

もし、エンジンを一回り大きくしてポンプが 13GPM になったら、力はシリンダで決まるので、変化はありませんが、サイクルはポンプで決まり、13GPM / 11GPM = 1.18 なので、18% 早く動作することになります。
つまり、4″ のサイクル 12.4 秒は、10.5 秒に短縮される、ということです。
現実には油圧回路のホースのサイズ等の制約を受けるので、単純計算のようにはなりません。

次にコントロトールバルブについてです。

コントロールバルブはシリンダを伸ばしたり縮めたりするために圧油を制御する弁ですが、薪割り機の場合には、一般的に、リリーフバルブといって圧力が上昇しすぎないように調整する安全弁と、デテントと呼ばれるシリンダの半自動収縮機能が組み合わさったものが使われます。

ごくごく稀に、このうちデテント機能がないものが売られていることがあり、使用感が大きく劣化しますので、注意が必要です。
さらにごくごく稀に、伸長操作のみで、手を離すとシリンダを保持できず、バネで勝手に戻るタイプも、昔売られているのを見たことがあるので、本当に注が必要です。

デテントとか、オートリターンと日本語では表示されていると思いますが、英語だと denet, auto-return function とか記述されています。denet は、ディーテントというような発音になると思うんですが。。。
理屈は極めてシンプルで、戻り側でレバーが引っかかったままになっていて、圧力が一定を超えると中立に復帰するだけなんです。

世の中には面白いことを考える人もいますね。
このアイデアはとても優秀です。
まあ、これと同じように、自動で中立に復帰するのです。

同じことを実現するために、シリンダ自体の収縮をスペーサー等で制限するアイテム(アイデア)があるのですが、薪割り機のシリンダは引く力はほとんど必要ないので、引く側の構造について強度がほとんどないケース があります。
そういう想定外の力を加えると、シリンダが破損します。
ちょっと話がずれましたが。。。

なもんで、普通のバルブに対して、ほとんど変更を加えることなく実現できる機能なのですが、それでもタダではない。
だから、ユーザビリティを考慮せず、価格のみを優先すなら、これも真っ先に削られるパーツです。

薪割り機販売業者の中には、安さだけを優先したゴミ同然のもの を扱うケースが散見されます。
Facebook にも書きましたが、Amazon で 10 万円で販売したケースでは、一般的に 30% 程度の Amazon のピンハネ
経費がかかりますから、7 万円が手取りとなります。
そして 10% はお国に消費税としてカツアゲされますね。
6 万円しか残りません。
さて、いくらでチャイニーズから仕入れたら、成り立ちますか?
4 万円くらいが限界の仕入れ価格、つまり、$300 くらいでしょう。
残りの 2 万円で日本に輸入し、倉庫等で保管したりのコストも別途かかります。

壊れました、修理してください、あなたが売り手ならどこまで対応できますか?
時給 1,000 円のアルバイトの電話番を雇って成り立ちますか?
アルバイトにこのテキストに書いてあるような技術的な説明ができるまで教育をしますか?
その説明がができるように教育したとして、お客さんは理解してくれるでしょうか?
土台無理なんです。

Facebook のケースでは、7HP のエンジンを搭載したものが 10 万円だったんですが、7HP は表で言えば、中級クラスの GC190, GX200 クラスになるんですね。
GX200 って、いくらで売られているのか、ネットで検索してみてください。
エンジン単体よりも薪割り機まるごとの方が安い という異常な状態です。
まともに使えるものが届くわけがありません。

仕様を検討したところ、件ものもは 3.5 インチボアのシリンダで能力は 10t の表示、サイクルは驚きの 30 秒でした。
そう、ツーステージポンプじゃないんです。
写真だけじゃあ、そんな亀のように遅い、とても残念な薪割り機だと気づけないし、気の毒なことですが、真っ当な薪割り機をみたことがない人は、30 秒もかかる異常性に気づくことはありません。
江戸時代、自動車や新幹線、飛行機を知らない人に、自転車を見せたら感動するのと同じです。
まあ、我々もどこでもドアを使ったことがないので、のび太からしたら、なんで車なんか乗ってるの、っことになるのでしょうが。

13 GPM ツーステージポンプを搭載していたら、サイクルタイムは 7.8 秒と、4 倍早くなるわけです。
同じ時間に割れる薪の量も倍くらいになる、というよりも、半分の時間で同じ仕事ができると思います。

薪割り機は安いものではないので、最低限の動作原理などは理解した上で、ライフスタイルに合わせてチョイスしていただきたいなと思います。

最後に宣伝になりますが、うちでも薪割り機を扱っております。
うちで販売中のモデル以外を含めて、(個人情報が含まれない形で)記事にして回答いたしますので、コメント等でご質問をいただければと思います。